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随分違う事になりました。

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「神獣様、仲間と話し合ってきますね、ゆっくりしてて下さい。
因みに神獣様は何か食べられますか?」

「いや、大丈夫だ太陽のエネルギーとこの庭の清らかな空気で満ち足りておる」

神獣は食事しなくていいようです。


私が教会に戻ると、皆もう起きて集まっていました。
「おはようございます。みなさん早いですね」

「おはようエレーナ。なんとなく気になって目がさめてしまった」
とカイルは窓の外を気にしている。
その横でルネさんも同じ様に窓から中庭を見ていた。

そこから見えるのは神獣様が背を向けて座っている姿だった。

「おはようございます。
あなたが外へ出ていくのが見えたので待っていたのです」
とパドック様。

「皆さんおはようございます。
食事の用意ができましたよ」
そこへセレナが呼びに来たので、朝食を取りながら皆に先程の神獣様とのやり取りを伝える事にします。


「それでは神獣もアランソルの王城に同行すると言う事ですか?
それは陛下も驚くでしょうね。
だが、ゲルドー男爵の話を報告するのに、説得力がありますね」
パドック様が愉しげに言います。

確かに私達が帰っていきなりゲルドー男爵の事を訴えても、信じてもらえるとは限らない。
被害にあった神獣様が話をした方が信憑性がある。


「いきなり王都にあんなに大きな神獣が現れたら、大騒ぎになるだろ?
パドック殿、先に知らせておいた方がいいんじゃないか?」
とカイルが心配を口にします。

「確かにカイラード殿下の言う通りですね。
早速、魔法の伝達鳩を飛ばしますよ」
とパドック様が受け合います。

「あのね、神獣様はまた私達を乗せて飛んで行く気みたいなの。
だから、ここから3日もかかる王都だけど出発したら、今日中に着いちゃうかもしれないって」
と先ほど神獣様から言われた事を伝えます。

「そ、そうか。
では、伝達鳩を放ってきますよ。
あれも魔法ですから僅かな時間で陛下に届きます」
そう言うとパドック様は部屋から出て行きました。

「ルネ、パドック殿が戻ってきたら相談するが神獣の背中に乗って行けるなら護衛の奴らは必要ないから、皆を連れてゲルドー男爵領の探索に使ってくれ」

「分かりました。では、ちょっと準備してきます」
とルネさんも部屋を出ていきました。

「最初の予定と随分違っちゃったな」
2人になるとカイルがポツンと言いました。
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