婚約破棄された悪役令嬢が実は本物の聖女でした。

神獣様の話

「そう言えば、魅了魔法を使える女に傷を負わせたと言っていましたよね？
改めて神獣様が罠に掛かってしまった時の話をお聞きしてもいいですか？」

「うむ。あれは、あ奴らが何度目かの森の侵入を試みて来た時であった」

ゲルドー男爵達はここ１年何度となく森に侵入してくるようになったそうです。
どうも１年前位にたまたまパドック様達魔導士が張った結界の綻びを見つけたのかそこから入ってくるようになったとか。

そして森に入ったすぐの所でたまたま力が貯まっていた所を踏み荒らし魔物を産み出してしまったらしいです。
それにびっくりして逃げて帰ったらしいがそれを追って出ていった魔物が数多くいて、あの辺りの領地を騒がせる事になった。

そして少しして落ち着いてくると、また森に入って来る事を繰り返し、とうとう森の奥にある魔石の谷を見つけたと言う。

「まさか、あそこまで来れるとは思わなかったが、偶然が重なり見付かってしまったのだ。
我は直ぐにあ奴らを追い返した」

すると今度は幾つもの魔方陣の護符の様な物を持って来て、円形になるように森の木に張り出し、そしてその円形の中心にも魔方陣を組んでそこへ神獣様を誘い込んだそうです。

「見たこともない魔方陣でな。
それを壊して逃げ出すのに体も神経もぼろぼろなってしまった。
我ながら少し無理をしたな」

その時に、サリーナに向かって攻撃を飛ばしたらしい。

「油断していた魔女は驚いて我の力を躱し損なって左腕と頬に傷を負った様に見えた。
他の者も皆傷つけたから、すぐに戻って来るような事はないだろう」
そう神獣様は言いました。




少し詳しい話がきけたので、またカイルやパドック様に報告にきいました。

するとパドック様の方からも新たな情報を教えてもらいました。