婚約破棄された悪役令嬢が実は本物の聖女でした。

歌の浄化

私が大叔母様のところで１番最初に覚えたのは、植物の育成と土の浄化です。

そして浄化魔法が１番大きな力を出せます。
それも私独自のやり方で。

私の力を強く出せるものそれは歌だ。
あの日裏庭で歌った讃美歌に乗せて周りの全てに力を送るやり方が無意識に出来るようになった。

私の１番の武器が歌であることを思い出した。

「神獣様、まずはこのあたりの浄化を行いますね。
結界はそれからゆっくり見てみます」

「よろしく頼む、聖女よ」

「カイル、あそこの岩の上に乗りたいの手を貸してくれる？」
私は側にいるカイルを見ていいました。

目の前に牛がうずくまっているくらいの大きさの岩があった。
岩の上は案外平らでいい具合のステージとなりそうだった。

「お安いご用意だよ」
カイルはひょいと私を持ち上げて岩の上に押し上げてくれた。

「ありがとう」
私は目を閉じて息吸い込み、体の中の魔力を意識しながら歌い出しました。

どんな時もどんな場所でも、歌い出せば私の中の扉が開き沸き上がって溢れ出してくる喜びと感謝の愛の力。

歌う喜び、歌える事への感謝、歌う楽しみそれら全てを私の力に変えてより遠くへ、より多くのものへ伝わるように歌に乗せ浄化していく。

歌い終わり、気がつくと先程までの重苦しい空気は一変していた。

目を開くとそこに広がっていたのは木漏れ日の降り注ぐ、緑輝く森だ。

「わぁ　凄い」

「自分で驚いてどうするんだよ。
エレーナ、君がやったんだよ」
私の言葉にあきれているカイル。

「これ程の浄化能力を持っているとは思わなかったぞ。森がどんどん浄化の波に飲まれていってる」
森の様子を感じた神獣様も驚いている。

これは成功でいいのよね？