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次の日、夜会の前日に王家へ届ける贈り物を注文するためにロエベ商会に足を運びました。
いつもなら別の商会に頼んでいていましたが、これからはロエベ商会を懇意にすることになるでしょう。
お父様とお母様、そして私と3人で連れ立って初めてロエベ商会へお邪魔しました。
商会の前に着き、馬車を下り立つとそこにはとても立派な建物が…。
これは…知らなかったら、美術館かなにかだと思うくらい、荘厳さが漂う様な素敵な建物です。
そこかしこに凝った彫刻がなされた柱が特徴的な外装。
中は大理石をふんだんに使ってあり、調度品も一級品が並んでいます。
さすが国でも有数な商会ですね。
私もいつか商会を大きくした曉にはもっと立派な商会を建てよう。
そんな事を考えながら廊下を案内されて歩いています。
お父様とお母様も随分感心している様子です。
下品にならず、ここまで豪華に整えてくるあたりロエベ子爵のセンスを感じさせますものね。
通された応接室は白を基調としていてとても明るいお部屋でした。
正面の壁が一面窓なのかと思う程、大きな窓が並んでいて、薄い黄緑色のカーテンが窓の邪魔をしないようにそっと寄り添っています。
調度品はしろで統一されており、彫金の飾りがアクセントになっています。
大きなソファーは少しくすんだ薄緑でとても座り心地の良いものでした。
「ようこそいらっしゃいました。
我が商会にジャルジェ伯爵家の皆さまをお迎え出来てとても光栄です」
「急なお願いに対応して下さり、お礼申し上げます」
こう言った大きな商会へは何日も前から予定を合わせるものなのですが、今回私が帰って来れたらお時間を作ってもらうと言うような曖昧なものだったようです。
ロエベ子爵は全然気にしていないようで、
「義理の娘に会えるなら、前日の連絡でも時間をあけましたよ」
と言って下さいました。
「本日のご用件は建国際の王家への贈り物をと聞いていますが?」
「そうなのです、子爵もご承知のように今年は被災地の復興に時間を掛けていたもので、すっかりと失念しておりまして…
是非お知恵を拝借したいのですよ」
「わかりました。
お話を伺って幾つか私のお勧めの品を用意いたしました。
隣の部屋に用意しておりますので、少々お待ちください」
そう言うと、子爵の後ろに立っていた者達が、後ろの両開きのドアを開けます。
この部屋に入って来た時に気になっていたのですよね。
入り口とは別のこのドアの事。
商談の際に大きな物や、数多くの品を披露する時にこうして見せるのね。
扉の先の部屋には、とても素晴らしい品が沢山置いてあります。
こちらの部屋と隣の部屋の境辺りにひとつひとつ品物を持ってきて説明をするロエベ子爵。
どれもこれも甲乙つけがたい物の様でお父様も悩んでいます。
最終的にお父様が選んだのは
アウイナイトと言う青い宝石の原石でした。
とても綺麗な青色でげんこつ大の大きさの宝石は、建国際の由来になった邪竜の涙を連想させました。
「伯爵がお選びになったアウイナイトは近年ワグナー共和国で鉱山が見つかり産出するようになった宝石です。
この青い色が尊いととても人気が出てきております。
しかしまだこの国では流通しておりませんので、とても希少価値はあります」
「なるほど、しかも今回の建国際という場面にはこの青い色があの邪竜の涙のようで話のネタになりそうだ」
お父様も私と同じ事を考えていたのですね。
まぁ、ロエベ子爵もそこを狙ったのかも知れませんが。
「伯爵、どうされますか?
原石のまま献上されますか?
それとも宝石としてカッティングを施して本物の涙の様にされますか?
この大きさです。
うまくカッティングをすれば手のひら大の大きさになりしょう」
「成る程、もっと涙に寄せると言うことか…
カッティングを頼んでも、間に合うのかな?」
「大丈夫です。
お任せ下さい」
「ねぇ、お父様当然この宝石は邪竜の涙と命名するのよね?」
「うん? そうだな…」
「よい考えだと思いますよ」
ロエベ子爵も賛成してくれます。
こうして、邪竜の涙と命名したアウイナイトを献上品とする事で決まりました。
カッティング後のアウイナイトを見るのが楽しみです。
「希望以上の物が手に入りました。
ロエベ子爵には感謝いたします」
「いえいえ、このくらい何と言う事はありません。
ここのところジャルジェ伯爵に手伝って頂いて、販路が拡大していますからね。
この国での我が商会の信用もとても上がっております」
それからお父様と子爵はお仕事のお話に花を咲かせています。
お話が一段落したところでロエベ子爵は私の方を向かれました。
何だか改まった感じです。
何か私にお話が…?
いつもなら別の商会に頼んでいていましたが、これからはロエベ商会を懇意にすることになるでしょう。
お父様とお母様、そして私と3人で連れ立って初めてロエベ商会へお邪魔しました。
商会の前に着き、馬車を下り立つとそこにはとても立派な建物が…。
これは…知らなかったら、美術館かなにかだと思うくらい、荘厳さが漂う様な素敵な建物です。
そこかしこに凝った彫刻がなされた柱が特徴的な外装。
中は大理石をふんだんに使ってあり、調度品も一級品が並んでいます。
さすが国でも有数な商会ですね。
私もいつか商会を大きくした曉にはもっと立派な商会を建てよう。
そんな事を考えながら廊下を案内されて歩いています。
お父様とお母様も随分感心している様子です。
下品にならず、ここまで豪華に整えてくるあたりロエベ子爵のセンスを感じさせますものね。
通された応接室は白を基調としていてとても明るいお部屋でした。
正面の壁が一面窓なのかと思う程、大きな窓が並んでいて、薄い黄緑色のカーテンが窓の邪魔をしないようにそっと寄り添っています。
調度品はしろで統一されており、彫金の飾りがアクセントになっています。
大きなソファーは少しくすんだ薄緑でとても座り心地の良いものでした。
「ようこそいらっしゃいました。
我が商会にジャルジェ伯爵家の皆さまをお迎え出来てとても光栄です」
「急なお願いに対応して下さり、お礼申し上げます」
こう言った大きな商会へは何日も前から予定を合わせるものなのですが、今回私が帰って来れたらお時間を作ってもらうと言うような曖昧なものだったようです。
ロエベ子爵は全然気にしていないようで、
「義理の娘に会えるなら、前日の連絡でも時間をあけましたよ」
と言って下さいました。
「本日のご用件は建国際の王家への贈り物をと聞いていますが?」
「そうなのです、子爵もご承知のように今年は被災地の復興に時間を掛けていたもので、すっかりと失念しておりまして…
是非お知恵を拝借したいのですよ」
「わかりました。
お話を伺って幾つか私のお勧めの品を用意いたしました。
隣の部屋に用意しておりますので、少々お待ちください」
そう言うと、子爵の後ろに立っていた者達が、後ろの両開きのドアを開けます。
この部屋に入って来た時に気になっていたのですよね。
入り口とは別のこのドアの事。
商談の際に大きな物や、数多くの品を披露する時にこうして見せるのね。
扉の先の部屋には、とても素晴らしい品が沢山置いてあります。
こちらの部屋と隣の部屋の境辺りにひとつひとつ品物を持ってきて説明をするロエベ子爵。
どれもこれも甲乙つけがたい物の様でお父様も悩んでいます。
最終的にお父様が選んだのは
アウイナイトと言う青い宝石の原石でした。
とても綺麗な青色でげんこつ大の大きさの宝石は、建国際の由来になった邪竜の涙を連想させました。
「伯爵がお選びになったアウイナイトは近年ワグナー共和国で鉱山が見つかり産出するようになった宝石です。
この青い色が尊いととても人気が出てきております。
しかしまだこの国では流通しておりませんので、とても希少価値はあります」
「なるほど、しかも今回の建国際という場面にはこの青い色があの邪竜の涙のようで話のネタになりそうだ」
お父様も私と同じ事を考えていたのですね。
まぁ、ロエベ子爵もそこを狙ったのかも知れませんが。
「伯爵、どうされますか?
原石のまま献上されますか?
それとも宝石としてカッティングを施して本物の涙の様にされますか?
この大きさです。
うまくカッティングをすれば手のひら大の大きさになりしょう」
「成る程、もっと涙に寄せると言うことか…
カッティングを頼んでも、間に合うのかな?」
「大丈夫です。
お任せ下さい」
「ねぇ、お父様当然この宝石は邪竜の涙と命名するのよね?」
「うん? そうだな…」
「よい考えだと思いますよ」
ロエベ子爵も賛成してくれます。
こうして、邪竜の涙と命名したアウイナイトを献上品とする事で決まりました。
カッティング後のアウイナイトを見るのが楽しみです。
「希望以上の物が手に入りました。
ロエベ子爵には感謝いたします」
「いえいえ、このくらい何と言う事はありません。
ここのところジャルジェ伯爵に手伝って頂いて、販路が拡大していますからね。
この国での我が商会の信用もとても上がっております」
それからお父様と子爵はお仕事のお話に花を咲かせています。
お話が一段落したところでロエベ子爵は私の方を向かれました。
何だか改まった感じです。
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