知らないけど、知ってる【顔も知らない旦那様改定版】

ゆうゆう

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建国際が無事に終わり、お父様とお兄様は各々領地の町を巡って様子を見ている。

お母様は王都のタウンハウスに残り、当分社交に精を出すそうです。

私もまたマルクスに戻ってきました。

私がいない間に木の実の苗もしっかり根付き、広大な畑も出来上がっていた。

農夫達の生活も改善し、今は皆頑張って働いてくれている。

商会にいるラナ、コレット、マルタの3人も仕事にも慣れて他の皆とも上手くやっているようだ。

そろそろコレット達に字を教えようかしら?
そんな事も考える。


やっと1つマルクスの問題を解決出来たようで嬉しかった。




これからもどんどん仕事をしていこう。
手始めに新たに仕入れた情報をもとに、今考えている事をうちの主要メンバーに相談します。
いつもの様に、2人を執務室へ呼び、お茶を飲んで一息ついて、私はテッドとドミニクに切り出す。

「ねぇテッド、ドミニク。
今、王都で羽を使った髪飾りが流行りだしたところなの」

これは私が王都を離れる前にルビアが親しい令嬢達だけを集めてお茶会を開いてくれた時に聞いたの。

また一部の高位貴族の間で流行り出しているらしいけど、すぐに広まるだろうって言っていた。


「そのうちに、いろんな色の羽がそこかしこで売り買いされてる筈よ。
それで、私もちょっと珍しい鳥の羽を仕入れてみたいのだけど」
そう提案すると、


「鳥の羽ねぇ… 面白い物が流行りだしましたね。
ああ、だったらワグナー共和国がいいですよ。
あそこなら大きな鳥や色の鮮やかな鳥がいるから輸入してみると面白いでしょう」

テッドが言うには大きな山脈や森が多く、そこにとても珍しい鳥が数多く生息する国なのだとか…
山の麓の村むらでは、そう言った鳥を捕まえて肉は食用として、羽や嘴などを加工してお土産物を作ったりしているそう。

ずいぶんとテッドがワグナー共和国に詳しくてびっくりしです。

それにワグナー共和国と聞いて、またドキッとしちゃいました。

不意打ちでテオバルド様のいる国の名前を聞くと、慌ててしまうようです。


そうか、ワグナー共和国にはそんな素敵な鳥が生息しているのね。

今度手紙でテオバルド様にいろいろ聞いてみようかな。

「へ、へえー、うちは今までワグナー共和国との付き合いってあったのかしら?」

心の中でテオバルド様の事を考えていた事を誤魔化しながら、声が上ずりそうになるのをどうにか抑えて言います。

「一度コーヒーを仕入れたと思いますよ。その時の船の船長に聞いておきますよ」

そうドミニクが請け負ってくれた。

予想外の事で、皆に変に思われないように装うので精一杯でしたが、何とか相談事は無事すみました。


       :



今日テッドに聞いた話を思い出しながら、テオバルド様に手紙を書きました。

まずは建国際が無事に済んだ報告。
そしていつか一緒に建国際のお祭りを見に行ってみたいという事。

それからテオバルド様が贈って下さったドレスがとても気に入って、お母様やお兄様、ルビアにもとても好評だった事。
なぜ私の好みを把握しておられるのですか?
しかも私の容姿にピッタリなんて、もしかしてテオバルド様は私を以前からご存知だったのではないか?など、結構攻めた内容を書いてしまった。

そして最後にうちの商会の人間からワグナー共和国はとてもきれいな鳥が多い話を聞いたと書きます。
出来たら、どんな色の鳥がいるのか教えて欲しいとも書きます。

手紙を封筒に入れて、封蝋でシーリングスタンプを押す。

「よし」


自分から提案した手紙のやり取りは何も知らない相手に対しての苦肉の策だったが、これのお陰で2人の仲は随分と近付いた気がする。
それにテオバルド様の人となりが想像できるような気がしていた。


今、リディアーヌの悩みの種は1つだけ、マルクスの皆にいつ結婚の話をするか?と言う事だけだった。

第2の実家とも言えるここへ帰ってきていつも、その事を頭の片隅に置いていた。

一度は決心をして切り出そうとしたけれど、邪魔が入ってしまいそれっきりになってしまっていた。

「本当にそろそろ言わないといけないわよね」

以前よりもテオバルド様を身近に感じ、好意を持っていることも自覚した。

だから、前よりは胸を張って結婚の報告は出来そうだった。
もうただの契約結婚ではない。
そんな風に思えるから。





         
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