知らないけど、知ってる【顔も知らない旦那様改定版】

ゆうゆう

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夜会初日、お父様、お母様、クロード兄様と私が夜会に出席します。

王城の一番大きなホールに皆が集まっています。
今日はここがメイン会場です
このホールの隣に謁見の間があり、昨日まで国王陛下への祝賀の挨拶の列が続いていたそうです。
小さいホールも隣接されていて軽食や飲み物が用意されているし、数多くの休憩室も整っています。

「毎回思っちゃうけど、ここって相当大きなホールなのに、それでもこんなに人で溢れるのよね」

「今日は初日だし、まだ始まったばかりだからね。
夜も更けてくれば人も減るさ」
とこれも毎年クロード兄様がいいます。

「国中の貴族が集まってくるから仕方がないさ。
明日、明後日はどんどん減るよ」
とお父様。

三日間行われる夜会ですが、領地が遠い家はすべての夜会に出なくてもいいとされています。
隣国と接しているような辺境領は領主様が1ヶ月近く自領を空けることになりますから、夜会初日に参加すれば、急いで帰られるとか。

それ以外も2日目以降は各貴族家から代表者が出席でかまわないとも言われています。

あまりお年を召した重鎮の方達は3日も夜会が続いたら体に堪えるらしいです。

それにまだ社交界デビュー3年未満の若い子達も遅い時間は参加出来ません。

私も今年からやっと制限が取れた所です。
去年までは先に帰らなければいけませんでした。

「今年から、先に帰らずに参加出来るのよね。楽しみ」

「そんなにいいものでもないよ。
僕も最初の年は興味津々でいたけど、疲れるし眠いしで早く帰れる若い子が羨ましくなってたよ」

夜会を退出するのに、制限はないけど、クロード兄様は次期当主だからお父様に付いてそれなりに頑張らなければいけなかったんだわ。

「リディ、初日最初は僕と踊るかい?」
これもクロード兄様とのいつものやり取りです。

「はい、よろしくお願いします」

「父上、ちょっと行ってきますね」

「ああ、少ししたら、私達はいつもの辺りにいるから」
とお父様が確認する様に言います。

これだけ大きな場所で人が多いと合流する場所を決めて置かないと迷子になるのです。

私達はホールの中央から右奥のダンスホールに割り当てられている部分に移動します。

ここは見物する人たちの為に椅子が大きな楕円形に置かれていて、窓際の一角だけは楽団の為に幾重にも椅子がおかれています。

その椅子が作った大きな楕円形の中でなん組もの人達がダンスを楽しんでいます。

10組や20組の人達が踊ってもぶつかる事がない程大きなダンスホールが出来ていました。

私達は椅子に座って次の曲が始まるのを待ちました。

「曲が終ったね。では、姫様お手をどうぞ」
クロード兄様はおどけた様に言って手を差し出してきます。

私もそれに答えます。

新たな曲が始まり私達は踊り始めました。

「そのドレス、ロエベ子爵令息からの贈り物なんだって?」

「ええ、この首飾りもテオバルド様が選んでくださったの」

「ふーん、結構上手くやっているんだね」

お兄様も建国際の数日前にタウンハウスに戻って来たから、私の結婚が決まった後からの出来事は知りません。

私はかい摘まんでテオバルド様との手紙のやり取りや手助けしてもらった事を話します。

「そっか、それでリディはテオバルド様の事を好きになったの?」

「え? す、好きって言うか… えーと優しくてとても頼りになるし、話もあうかなぁって思ってるだけで、まだそこまで分からないわ。
だって顔も見たことないし」


「そう? 顔が真っ赤だよリディ」

「やだ、お兄様からかわないで」
私は頬を膨らまして抗議する。

「ごめんごめん。
全然自覚がないリディが面白くてね。
でも、好きになれそうな相手でよかったね」

「それは… 確かにそうね。
ありがとうお兄様」

確かに私はテオバルド様に惹かれているのかもしれないな。

私はクロード兄様よって微かな自分の変化を自覚させられました。



        :





「リディ、やっと見つけたわ」
ダンスの後、お兄様と喉の渇きを潤し、小腹を満たしていたら、ルビアの声が聞こえました。

「ルビア」

私が彼女に向き合うと、ルビアは私を頭の先から足の先まで眺めてニッコリ笑います。

「やっぱりそのドレス、リディに良く似合ってる」

「ありがとう、ルビア」

「ルビア嬢 久しぶりだね」

「クロード兄様、お久しぶりです。
なんだかお痩せになったみたい…
大丈夫ですか?」
ルビアはとても心配そうにクロード兄様を見ています。

「ああ、ちょっと前に比べたら随分元気になったよ」

ちょっと前とはお兄様もお父様と一緒に北の領土の災害復興に走り回っていたから、今は大分落ち着いてきたと言うことね。

「なら、いいのですが…
あまり無理はしないで下さいね。
私もリディもクロード兄様に何かあったら困りますもの」

「ルビアもかい?」


「も、もちろんですわ」
おやおや、ルビアったら顔が真っ赤だわ。

クロード兄様ったら、ルビアの気持ちを知ってる癖に、すぐからかうのだから。

私はそっとクロード兄様の脇をつついた。

クロード兄様は私を見て、ウインクしてくる。

やれやれ、結局相思相愛なんじゃない。

ルビアが本当のお姉様になる日も遠くないかもね。



       

        
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