カランコエの咲く所で

mahiro

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ゲルハルトが風呂に入っている間、俺は部屋の奥に置かれたソファに腰掛け室内を見渡してみた。
ソファの前には小さなサイドテーブルがひとつあり、資料が無造作に置かれている。
ソファの後ろには壁があり、その壁の向こう側にはベッドがあった。
カーテンレールには洗濯物がぶら下がっていている。


「………あいつ、彼女とかいないのか?」


特に彼女のものらしきものは見当たらないが。
もしいたとしたら、見知らぬ子供がいて浮気を疑われたりするのではないだろうか。
まぁ、ゲルハルトの年齢からして俺のような子供がいたら10歳の頃の子供となるわけだからあり得ないと分かるだろう。


「いないよ。言い寄ってくる女性は沢山いるけど、ご主人は興味なさそうだしね」


隣で丸まっているジョゼは、大きな欠伸をしながら言った。
昔から、顔良し、頭良し、運動神経良し、魔法使いとしての能力も文句のつけようもなしで女性からモテていた。
本人は全く興味がなく、むしろ鬱陶しそうにしていた。
そこは変わらなかったようだが、雰囲気は柔らかくなっていたように見えた。


「そもそもご主人は特級の任務以外の時間はイヴの側にいたから女性と付き合っているような時間はなかったかも。イヴが現れる前は特級になるのに特訓やら試験やらで休む間も無く動き回ってたし」
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