カランコエの咲く所で

mahiro

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当時の俺にとって、イヴ・ノランという人物はいつまで経っても魔法使いとしての能力が開花せず、体術も使えない非力な子供で、エリートと言われ続けていた俺とは真逆な存在で、話をしても全く話の合わない存在だった。
特別仲のよい存在とは言い難く、どちらかと言えば不仲だったと思う。
でも、だからと言って嫌いだったわけじゃない。
無関心でもなかった。


「………嘘、だよね?」


亡くなったと聞いてショックを受けるくらいには、俺の中のイヴ・ノランという人物は心に残る人物であったのだ。


「事実です。ヨーゼフ君を探すよう指示を受け、城の中に入った際に共にいらっしゃいました。そのときには既にイヴさんは亡くなっており、ヨーゼフ君だけがそこで……生き残っておりました」


進めようとしていた足を止め、力なくその場にしゃがみ込んだ。
エクベルトの慌てふためく声が聞こえてきたが、それ処ではなかった。

俺は知らない所で憧れであった先生と関わりのあった仲間を同時に亡くした、の?

嘘だ、嘘だと誰か言ってくれ。

これは夢だと、現実ではないのだと、誰か!
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