カランコエの咲く所で

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徐々に視線を上げていくと、そこには先生の顔そっくりのヨーゼフがいた。
ヨーゼフが見せていたときのヨーゼフよりも少しだけ顔が凛々しく見えるのは何故なのだろう。
偽物ですら、もう少しあどけなさがあったと思うが。


「やっと、会えたね」


嬉しいという感情と緊張感を混ぜ混ませた声音に、俺は動揺してしまった。
『やっと』とはどういう意味だ。
偽物がやっとの思いで俺を見つけたという意味か？
それかまた別の意味か。
分からないが、警戒するにこしたことはない。
じりじりと近付いてくるヨーゼフに、俺はその分後退していく。


「本当はずっと、会いたかったんだよ」


目尻を下げ今にも泣きそうな瞳は、先生の奥さんにそっくりで、ほんの少し前まではこの顔に似たヨーゼフと共にいたが、この表情は初めて見るかもしれない。


「早く会って、謝りたかったんだ」