カランコエの咲く所で

mahiro

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よくよく考えたら、俺は腕二本でしかどうにも出来ないけど、ヨーゼフは別に腕だけじゃなくて能力もあったか。
十歳でありながらにして、今の地位にいられるのは産まれ持ったものと本人の努力によって得られたものか。


「………ねぇ、イヴ」


「ん?」


名前を呼ばれて目の前にあるヨーゼフに顔を向ければ、愛おしむような表情を向けられた。


「さっき少しだけ話したけれど、イヴは僕がしたことを怒っていないの?」


「何故怒らないといけないんだ?ヨーゼフが俺を思ってやってくれたことだろう?別に傷つけられたわけでもないし、俺がヨーゼフを怒る必要はないと思うけど?」


確かに俺が過ごしてきた時間が実は夢だったと言われたときは戸惑ったし、そんなの嘘だとも思った。
だけれど、今思えば用心深い村長が怪しい子供を英雄の子供と暮らさせるわけがあるわけなかったよな。
あのときは色々と衝撃が大きく、情報の整理なんて間に合ってなくて、目の前にあるものに触れ、それらをこなすだけで精一杯だった。
まぁ、こなすも何もこなせたものなど何もなかったけど。


「そうなんだけど、僕はね………僕の命の恩人に何てことしたんだろうっていつも思っていたんだよ」
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