見知らぬ君に触れられない

mahiro

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女性には甘い言葉をこれでもかと言うほどに吐き、男性にも甘い囁きや色気を漏らし相手の心を掴んでいた。
俺もその被害者であることは何となく気付いていたが、それは気付かないふりをしていた。
こいつは心を開いているように見せつけ、実のところ、誰にも心を開いていない。
それは昔のこいつの話で今の仲間にはどうかは知らないが、そう簡単に人間は変わらないだろう。


「何が聞きたい?」


ニコニコと笑うこいつに背を向け髪の毛をタオルで拭いていると背後で人が動く気配がし振り返れば思ったよりも近い位置にファーベルが立っていた。
俺よりも20センチ以上高い位置にある顔を見上げれば、そっと腰を抱き寄せられた。


「………ねぇ、寂しかった?」


「俺は先から何も言ってないし、答える気もないぞ」


「酷いなー大切なパートナーに向かって」


「元、な。今、お前には別のパートナーがいるだろう」


「いるけど、フレイアとは違うよ」


やっぱりいるんじゃないか、パートナーが。
ハッタリのつもりで言ってみたんだがな。


「彼には命までは預けられないもの」
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