俺が許すよ

mahiro

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私は私を許せない。
たとえ、誰かが許してくれたとしても。


私には前世の記憶があるなんていきなり言われたら、この人、大丈夫だろうかという目で見られるだろう。
それが分かっているから私は誰にも話したことはない。


「リラ?ボーッとしてるけど、大丈夫?」


前世とは違いこの世界は何の力もなく平和そのものの世界だ。
そんな世界で私は息を潜めながら生活を送っている。
今日は現世でも姉であるミファーに相談があると持ちかけられ、喫茶店に来ていた。
心配そうな顔でこちらを見ているミファーは、前世の頃から何も変わらない。
優しくて頼りになる姉だ。
そんな姉も私は。


「………大丈夫。それでお願いしたいことって、何?」


手元にあるカップを両手で掴みながら、紅茶の中身を見る。
そこには無表情のままそれを覗き込む私の姿が映っていた。


「あ、あのね」


慌てるようにそう言ったミファーは、持っていた鞄からひたつの書類を取り出した。
それは私たちの両親宛に届けられたもので、内容はミファーをとあるご子息と婚約させたいといったものだった。


「私にはもう婚約者のセシルがいるから、婚約出来なくてね、リラさえ良ければ、私の変わりに婚約してくれないかな?あ!無理はしなくていいよ。好きな人がいるとかなら、断っていいからね」


お母さんたちも無理しなくて良いって言ってたから、とミファーは言っているが、この話は断れないのだろうと思った。
何故なら、そのご子息がただのご子息ではなかったからだ。
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