きっと、君は知らない

mahiro

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お母さんやお父さんたちが他の人たちと話しているうちに私はあの人の腕を引いて部屋を連れ出した。
あの人は少し動揺していたようだけど、逃げることはせずに私についてきてくれた。
きっと、お兄ちゃんの妹だから引き離すことは出来なかったのだろう。
昔も今もこの人は何処まで優しい人なんだろう。
約束は律儀に守るし、お兄ちゃんが惚れるくらいの人なんだから凄く素敵な人なんだと思う。
そんな人に私やお父さんは失礼なことをしてしまった。
だから、それを謝らないと私の気が済まない。
お父さんは覚えていないから、謝ってと言っても何のことか分からないだろうけど、私はそうはいかないのだから。


「急に連れ出してごめんなさい」


私の部屋に連れていこうかと思ったけれど、仮にも女の子の部屋に連れ込むのはどうかと思ったので、リビングから離れた両親が使っている和室に連れ込んだ。
外にはお兄ちゃんの気配を感じたが、あえてそれには触れず、目の前にいる人の両腕を掴んだ。


「どうしても貴方に謝りたいことがあるんです」


私の言葉にあの人は一瞬顔を歪めた後、すぐに表情を戻した。
きっと、今ので悟ったのだろう。
私に記憶があることを。


「………もし、あのときのことなら謝罪はいらないし、今後の俺と先輩との関係性についても思い悩まなくて良い」


あえてお兄ちゃんのことを『先輩』と呼び、言葉を砕けさせたのはそういうことだと確信する。
本当に聡い人だ。
お兄ちゃんが気に入るわけだ。
ブルーさんは悟れないし、察しようともしないし、この人とは真逆のタイプだと思う。
元彼はどちらかといえば、この人と同じで悟ることが出来る人だったのだと思う。
察した上で必要だと思ったことをしてかれた、お兄ちゃんからしてみると恩人だったのだと思う。


「あれは最善だったと今も思うし、今後もその約束は継続していくつもりだ。例え、先輩がそれを望まなくても」


「何で?!私は継続なんて望んでないし、最善だったとは思えない!思い悩まなくて良いなんて言うけど、悩まないわけないじゃない!私とお父さんのせいで貴方は!いえ、お兄ちゃんは!」
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