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忙しい中呼び寄せて悪かったとは思う。
けれど、話し出す前から怖い顔で私を見ないで欲しいのだが。
「え、えーと」
「何だ?早く言え」
威圧感が半端ないんだよ、このノエリア王子。
その横でエディスが私を心配そうに見つめているので、見ているだけで凍りつきそうなノエリア王子ではなくて、エディスの方を見ながら話すとしよう。
さて、話すにしても何処から話し出すか。
実は私が『トリスタ』っていう小さい国の王様の側室が産んだ娘であったこと。
ずっと隠れながら生活をしていたこと。
ある日、『イスマ』の第一王子、ルネ・レニエ王子暗殺とその王子の婚約者として『イスマ』に向かえと急に言われ、結局出来なかったこと。
このまま私が側にいるとルネ王子が危ないと思った私はルネ王子から嫌われるためにあやれこれやと悪事を働き、婚約破棄を言い渡されたこと。
『トリスタ』からのスパイと『イスマ』からの嫌がらせを受け、最終的には窓から飛び降りて死にかけたということ。
死にかける前まではレーヌ・ヴォーティエという名であったこと。
その名前の人物は亡くなったことにされていること。
そのため、それ以降は別名を名乗ることにし、ミュライユという名にしたこと。
今日買い出しに行ったときにブライアンが何故かいてルネ王子が私を探していると言っていたことを伝えた。
どんな反応が返ってくるのかと、びくびくしながら待っていると、ノエリア王子から。
「で?」
とつまらなそうに言われた。
『で?』とはどういうことだ。
「今日会った坊っちゃんが言っていたのは、あくまで死んだ奴を探してるって言ったんだろ?お前のことじゃねーじゃん」
「それはそうですが、同一人物で…」
「ちげーだろ?目の前にいるのはただのミュライユという人物で、エディスの世話役をしている女だ。側室の娘だとか悪事を働いてきたとか、そんな奴はその日に消えてんだよ。だから、ルネ王子がそいつを探してようが探さないがお前には関係ないことだろーが。別人物なんだから」
ノエリア王子の言葉は、私の胸の中にそのまま入り込んできた。
確かにノエリア王子の言う通り、あの日、レーヌ・ヴォーティエという人物は死んだ。
そして新しくミュライユという人物が誕生し、新たな生活を送っていて、過去の残物を探しているルネ王子が居ようが居まいが今の『私』には関係ないことじゃないか。
「何だぁ?それにビビったってのかよ。もしかして、場合によっちゃルネ王子から逃げようとか考えてたわけじゃねーよな?」
「その通りです」
「はぁ?何で逃げなきゃなんねんだよ。無関係者ですって突っぱねてやれ。いくらお前が居なくなった奴に似てようが、お前がそのときのことを覚えてようが実際にやった奴だろーが関係ねーよ。だってそれはあくまで別人のことなんだから。事実なんて知ってる奴が知ってればそれで良いんだよ」
ノエリア王子はだろ?とイタズラっ子のように笑いながら言うものだから、思わず涙が出てしまった。
そこへ真っ正面からエディスが私に抱きついて、私と同様に泣き出した。
「ミュライユちゃん、頑張ってきたんだね。偉いね……でも、ノエリア王子が言うように、ここにいるのは『ミュライユ』ちゃんなんだからね?それ以外の人物ではないんだから怯えることなんて何もないんだよ」
「エディス……」
抱き付いてきたエディスを抱き締めようとすれば、話し出す前よりも鋭く、鬼の形相でノエリア王子が見てくるので出ていた涙は止まったし、掴もうとしていた手も宙に浮いたままになった。
本当に何処までもエディスが一番の王子様だな。
けれど、話し出す前から怖い顔で私を見ないで欲しいのだが。
「え、えーと」
「何だ?早く言え」
威圧感が半端ないんだよ、このノエリア王子。
その横でエディスが私を心配そうに見つめているので、見ているだけで凍りつきそうなノエリア王子ではなくて、エディスの方を見ながら話すとしよう。
さて、話すにしても何処から話し出すか。
実は私が『トリスタ』っていう小さい国の王様の側室が産んだ娘であったこと。
ずっと隠れながら生活をしていたこと。
ある日、『イスマ』の第一王子、ルネ・レニエ王子暗殺とその王子の婚約者として『イスマ』に向かえと急に言われ、結局出来なかったこと。
このまま私が側にいるとルネ王子が危ないと思った私はルネ王子から嫌われるためにあやれこれやと悪事を働き、婚約破棄を言い渡されたこと。
『トリスタ』からのスパイと『イスマ』からの嫌がらせを受け、最終的には窓から飛び降りて死にかけたということ。
死にかける前まではレーヌ・ヴォーティエという名であったこと。
その名前の人物は亡くなったことにされていること。
そのため、それ以降は別名を名乗ることにし、ミュライユという名にしたこと。
今日買い出しに行ったときにブライアンが何故かいてルネ王子が私を探していると言っていたことを伝えた。
どんな反応が返ってくるのかと、びくびくしながら待っていると、ノエリア王子から。
「で?」
とつまらなそうに言われた。
『で?』とはどういうことだ。
「今日会った坊っちゃんが言っていたのは、あくまで死んだ奴を探してるって言ったんだろ?お前のことじゃねーじゃん」
「それはそうですが、同一人物で…」
「ちげーだろ?目の前にいるのはただのミュライユという人物で、エディスの世話役をしている女だ。側室の娘だとか悪事を働いてきたとか、そんな奴はその日に消えてんだよ。だから、ルネ王子がそいつを探してようが探さないがお前には関係ないことだろーが。別人物なんだから」
ノエリア王子の言葉は、私の胸の中にそのまま入り込んできた。
確かにノエリア王子の言う通り、あの日、レーヌ・ヴォーティエという人物は死んだ。
そして新しくミュライユという人物が誕生し、新たな生活を送っていて、過去の残物を探しているルネ王子が居ようが居まいが今の『私』には関係ないことじゃないか。
「何だぁ?それにビビったってのかよ。もしかして、場合によっちゃルネ王子から逃げようとか考えてたわけじゃねーよな?」
「その通りです」
「はぁ?何で逃げなきゃなんねんだよ。無関係者ですって突っぱねてやれ。いくらお前が居なくなった奴に似てようが、お前がそのときのことを覚えてようが実際にやった奴だろーが関係ねーよ。だってそれはあくまで別人のことなんだから。事実なんて知ってる奴が知ってればそれで良いんだよ」
ノエリア王子はだろ?とイタズラっ子のように笑いながら言うものだから、思わず涙が出てしまった。
そこへ真っ正面からエディスが私に抱きついて、私と同様に泣き出した。
「ミュライユちゃん、頑張ってきたんだね。偉いね……でも、ノエリア王子が言うように、ここにいるのは『ミュライユ』ちゃんなんだからね?それ以外の人物ではないんだから怯えることなんて何もないんだよ」
「エディス……」
抱き付いてきたエディスを抱き締めようとすれば、話し出す前よりも鋭く、鬼の形相でノエリア王子が見てくるので出ていた涙は止まったし、掴もうとしていた手も宙に浮いたままになった。
本当に何処までもエディスが一番の王子様だな。
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