その日君は笑った

mahiro

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気を付けろって何に

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真宮は面白そうに自分を指差す宝生を見たかと思えば、何故かその後に俺を見た。
まさか、女子にされるあるあるの1つで、イケメンの隣にはイケメンが居ると思って隣を見たらフツメンでガッカリされるあれを男にもされるのか。
もしやるならさっさとやってくれ。


「分かった、今日は仕方ないからここで去ろうと思うけど、君が北嶌の彼氏か……北嶌は面食いだったんだな」


真宮はそう言って一歩だけ後退した。
来るかと思っていた行動をされず、俺としては拍子抜けしたが、じゃあ何で俺のこと見たんだよと言いたい。


「む、お前さんよく分かったな」


「お前は余計なこと言わなくて良いっての」


宝生は右肩を後ろに退かれ、その前に彼氏が立ち真宮を睨み付けた。


「手ぇ出すなよ」


「出さないって。北嶌に噛みつかれそうだし。それじゃあまたね、2人とも」


そう言って真宮は立ち去ったが、その姿が完全に消えるまで彼氏はそちらを睨み付けていた。
その形相の怖いこと怖いこと。
さて、もう俺はここにいる必要ないし、ぼちぼち去るか。


「じゃあ、俺はここで」


声を掛けて去ろうとすると、何故か宝生の彼氏に肩をがっしり掴まれた。
何、俺何かした?!


「気を付けろよ。あいつには」


「は、はい?」


あいつ、って真宮のことか。
でも、何を気を付けろと言うのか。
俺は宝生について来なければ自分の大学にしか行かないし、バイト先だって来るわけない。
接点などあるわけないのに。
気を付けなければならないのは俺より宝生の方ではと思って宝生を見れば、何故か宝生は何度も頷いていた。


「うむ。孝介困ったことがあったら言うと良い。力になるぞ」


「え?うん?ありがとう?」


俺は何に困る予定なんだ、一体。
よく分からないが、心配されていることだけは分かったので、お礼を言って今度こそ去った。
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