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告白
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いつまでも公園で男同士が抱き合っている訳にも行かず、結局俺の家に真宮を招き入れたのだが、その間も泣き続けていて頭を悩ませた。
俺は頭が良いわけではないから、何と言えば上手く真宮を納得させることが出来るか分からないし、この状況を上手く打破できる気もしない。
何より一番頭を悩ませていることは、この男の涙が綺麗だと思ってしまってる自分と抱き締められたことに対して嫌だと思っていない自分だったりする。
宝生たちが酔って抱きついてきたり、ふざけて腰にしがみついてくることもあるが、あれはあくまで友達同士がふざけあってのことだから何とも思わないけれど、真宮に関しては何というか違う。
何か違うんだけど、何が違うって上手く表現が出来ないけど、胸の中がボカボカしたというかなんというか、一言で言えば落ち着かない。
「………あのさ、この間俺の顔が好きって言ってくれたのは嬉しかったし、俺のこと知ったら好きになる自信があるって言ってくれたのも嬉しかったんだよ。だけど、俺、それをどう受け取ったらいいか分からなくてさ」
適当に床に座って貰った真宮の前に飲み物を差し出せば、真宮は無言で頷きそれを口にした。
「どう受け取ってってそのまま受け取ってくれて良かったんだよ?」
不思議そうに見てくる真宮からは、何か裏があるように思えないのだが、俺の目を信じていいのか自信がない。
「いや、その…真宮のいう『好き』ってどういう意味の好きなのかとか、俺だけにそう言うこと言っているのかどうなのかなぁって………思ったりして」
語尾が消えそうな程、小さい声で呟けば、真宮は目をキリッとさせ口を尖らせた。
「『好き』っていうのは友達とかに言う『好き』ではないよ。恋人とかに言う好き。それにこんなこと誰にも彼にも言う言葉じゃないでしょ。オレは君にしか言うつもりないから。確かにこんな見た目だし、ちゃらんぽらんで女の子を常に口説いてそうな見た目と性格してそうに見えるかもしれないけど、普段のオレはそんなことしないよ。仕事ではお金のためにやってるけどね。学費稼がないと生活苦しいから」
「そ、そうなのか」
「もし君が信用してくれないというのなら、バイトを変えるし、この気持ちを態度で示すよ。だから、そのまま受け取って」
率直に言って嬉しい。
そんな風に俺のことを思ってくれるなんて。
今までそんな風に思ってくれる人なんて誰もいなかったし。
「はぁ、宝生と北嶌には散々いじめられるし、君には会えないし、言葉を疑われるし嫌になっちゃうよ」
不貞腐れている真宮には悪いが、俺は真宮の気持ちが知れて嬉しいな。
こんな状況にならなきゃ聞けない俺も俺でどうなんだと思うけど。
「ねぇ、君。もう会えないのも疑われるのも嫌なの。だからさ、オレの隣にいつもいてよ? 何か疑うことがあればすぐに聞いて。君になら何でも答えるから。だから付き合って、オレと」
細長い手を俺に向け、左腕を掴まれた。
こいつ今何て言った。
「は…?」
「離れれば離れるほど、知りたいと思えば思うほどに、気持ちが大きくなっていくの。これってだって恋でしょ?」
「いや、そ、そうなんだろうけど、俺、男で」
ドキドキうるさい心臓の音と、顔に熱が集まっていくのが嫌でも分かる。
それに好きだと言われて喜んでいる自分がいる。
本当に真宮を信じていいのかとか、そんなチョロくて良いのかと後で宝生から言われそうだけど、真宮のことを信じたい自分がいる。
「君が男なのもオレが男なのも知ってるよ。知った上で言ってるよ、勿論。君は気にするの?」
「いや、気にしないけど」
俺の周り、何故か男同士ばっかりだし。
そういう偏見はない。
「それじゃあ良いじゃない。ね、付き合って? 岡崎孝介君」
俺は頭が良いわけではないから、何と言えば上手く真宮を納得させることが出来るか分からないし、この状況を上手く打破できる気もしない。
何より一番頭を悩ませていることは、この男の涙が綺麗だと思ってしまってる自分と抱き締められたことに対して嫌だと思っていない自分だったりする。
宝生たちが酔って抱きついてきたり、ふざけて腰にしがみついてくることもあるが、あれはあくまで友達同士がふざけあってのことだから何とも思わないけれど、真宮に関しては何というか違う。
何か違うんだけど、何が違うって上手く表現が出来ないけど、胸の中がボカボカしたというかなんというか、一言で言えば落ち着かない。
「………あのさ、この間俺の顔が好きって言ってくれたのは嬉しかったし、俺のこと知ったら好きになる自信があるって言ってくれたのも嬉しかったんだよ。だけど、俺、それをどう受け取ったらいいか分からなくてさ」
適当に床に座って貰った真宮の前に飲み物を差し出せば、真宮は無言で頷きそれを口にした。
「どう受け取ってってそのまま受け取ってくれて良かったんだよ?」
不思議そうに見てくる真宮からは、何か裏があるように思えないのだが、俺の目を信じていいのか自信がない。
「いや、その…真宮のいう『好き』ってどういう意味の好きなのかとか、俺だけにそう言うこと言っているのかどうなのかなぁって………思ったりして」
語尾が消えそうな程、小さい声で呟けば、真宮は目をキリッとさせ口を尖らせた。
「『好き』っていうのは友達とかに言う『好き』ではないよ。恋人とかに言う好き。それにこんなこと誰にも彼にも言う言葉じゃないでしょ。オレは君にしか言うつもりないから。確かにこんな見た目だし、ちゃらんぽらんで女の子を常に口説いてそうな見た目と性格してそうに見えるかもしれないけど、普段のオレはそんなことしないよ。仕事ではお金のためにやってるけどね。学費稼がないと生活苦しいから」
「そ、そうなのか」
「もし君が信用してくれないというのなら、バイトを変えるし、この気持ちを態度で示すよ。だから、そのまま受け取って」
率直に言って嬉しい。
そんな風に俺のことを思ってくれるなんて。
今までそんな風に思ってくれる人なんて誰もいなかったし。
「はぁ、宝生と北嶌には散々いじめられるし、君には会えないし、言葉を疑われるし嫌になっちゃうよ」
不貞腐れている真宮には悪いが、俺は真宮の気持ちが知れて嬉しいな。
こんな状況にならなきゃ聞けない俺も俺でどうなんだと思うけど。
「ねぇ、君。もう会えないのも疑われるのも嫌なの。だからさ、オレの隣にいつもいてよ? 何か疑うことがあればすぐに聞いて。君になら何でも答えるから。だから付き合って、オレと」
細長い手を俺に向け、左腕を掴まれた。
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「は…?」
「離れれば離れるほど、知りたいと思えば思うほどに、気持ちが大きくなっていくの。これってだって恋でしょ?」
「いや、そ、そうなんだろうけど、俺、男で」
ドキドキうるさい心臓の音と、顔に熱が集まっていくのが嫌でも分かる。
それに好きだと言われて喜んでいる自分がいる。
本当に真宮を信じていいのかとか、そんなチョロくて良いのかと後で宝生から言われそうだけど、真宮のことを信じたい自分がいる。
「君が男なのもオレが男なのも知ってるよ。知った上で言ってるよ、勿論。君は気にするの?」
「いや、気にしないけど」
俺の周り、何故か男同士ばっかりだし。
そういう偏見はない。
「それじゃあ良いじゃない。ね、付き合って? 岡崎孝介君」
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