ブレスレットが運んできたもの

16

ラリマーの横から窓の外を覗き見れば、ワインレッドの髪色と瞳の色を持つ人間離れした容姿を持つ男性が家の周辺を歩き回っているのが見えた。
あれがルフスっていう宝石か。
ブレスレットだか指輪だか分からないけど、そのどちらかなんだよな。
手元を見たくても対象物は小さいし、手首は袖に隠れていて見えない。


「きっと、昨日のはカモフラージュで本当の婚約者は今日探すのよ！」


そこへ昨晩とは異なり明るい声で話すミシェルの声が下の階から聞こえてきた。


「そうかもしれないね。ミシェルの良さを今日こそ伝えられるといいね」


「うん！」


なんてポジティブな考えなんだ。
俺も何も知らなきゃその可能性を考え付いた………かもしれないけど、事情を知っている今じゃとても考えられない。
彼はレヴィ王子の婚約者候補なんて探しちゃいない。
急に居なくなった仲間を探し回っているだけだ。

どうせ、何故ラリマーが急にいなくなったのかなんてレヴィ王子のことしか考えていなかったのなら、その理由も分かりはしないんだろうな。