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【出張編】

おかしいな?①

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「あっ、む、ぅん……、ん、あんっ!」

 私は昨日に引き続き、進藤に貫かれて、揺さぶられていた。
 ヤツは遠慮なく私の身体を弄りまくったり、ぶちゅっとキスしてきたり、やりたい放題だ。
 ここは旅館の部屋の中。当然、寒くない。なのに、どうしてこんな展開になったんだっけ?
 そう考えるけど、なにもかもどうでもよくなるくらい気持ちよくて喘ぐ。
 進藤は本当になにをやらせても器用だ。ムカつく。


           

 かまくらでぜんざいを食すという憧れイベントをクリアした。
 隣りに進藤がいて窮屈だったけど、ヤツも一緒にかまくらを作ったから、中に入る権利はある。仕方ない。
 ぜんざいは最高だった。

 かまくらを満喫した後、女将さんが早めにお風呂を用意してくれたから、冷え切った身体を浴場で温めた。

「ふぅ~、極楽極楽~」

 湯船にもたれると、身体の力が抜けていく。温泉成分が入っているというお湯はとろみがあり、肌に優しい。うっかりすると溶けて流れ出しそうだ。
 五、六人でいっぱいになるような湯船だけど、どうやら客は私たちしかいないようで貸し切り。一人なら十分広い。
 今頃、男風呂では進藤も同じようにお湯に浸かっているはずだ。

 本当ならゆっくり浸かりたいところだけど、猫舌と同じで、熱いお風呂は苦手だ。すぐのぼせてしまう。
 残念に思いながら、さっとあがると、浴衣を着て、帯を結んだ。

「う~ん、やっぱり縦結びになっちゃうなぁ」

 蝶々結びが苦手で、いつも蝶々が縦になる。

(お母さんがいたら、正しいやり方を教えてもらえたのかな?)

 考えても仕方がないことをふと思ってしまって、首を振る。
 
(ま、いっか、ここに気にする相手はいない。お父さんに怒られるわけでもないんだから)

 厳格な顔を思い浮かべそうになり、慌てて振り払い、髪の毛を乾かした。
 ショートカットだから、すぐ乾く。

 部屋に戻り、ぼーっとしていると、進藤も戻ってきた。
 浴衣を綺麗に着こなしているのが腹立たしい。
 
 お茶を淹れてやる。
 自分が飲むついでだ。
 だから、そんなニコッと可愛く笑う必要はない。

「相変わらず、結び方、下手だなー」

 わざわざ私の隣りに来て、お茶を飲んでいた進藤がちらっと私を見て笑った。

(近くに来たのはバカにするためね!)

 むぅっと口を尖らせる。

「余計なお世話!」
「直してやるよ」
「へっ?」

 ずいっとさらに近づいてきたヤツが私の帯の端を引っ張った。
 するんと解ける帯。

「やっべー、このまま押し倒したい……」
「バカッ、なに言ってるのよ!」

 昨日のことを思い出して、顔が熱くなる。
 進藤はこんな無害な愛くるしいワンコ顔して、実は色情魔なんだろうか?
 女子と二人きりになると襲わずにはいられないとか。
 その割に悪い噂を聞いたことがないのは、襲われても喜ぶ子の方が多いからかも。

 じりじり後ずさった私に、にんまり笑いかけて、進藤はささっと綺麗な蝶々結びを作った。

「もうすぐ夕食だから、やめとくよ」

(今はってなによ!)

 私は座卓を回り込んで、ヤツから距離を取った。
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