35 / 57
モテる彼①
しおりを挟む
月曜日は、いつもより遅く出社した。
もう早朝の将司さんとの密会は必要ないから。
総務部のドアを開けると、すでに将司さんは来ていて、視線が合う。
将司さんっていうのも、もう止めないとね。
「おはようございます、石原係長」
「あぁ、おはよう、宇沙見さん」
普通に挨拶が交わせて、ほっとした。
他の同僚とも挨拶しながら、席につく。
今年もあと二日で仕事終いだ。
だけど、うちの会社は最終日に社員全員を集めて、ホテルで立食パーティーを行うから、総務部は最後の最後まで忙しい。
社内の片づけもしないといけないし、仕事が山積みだ。
昨日はブランチを取ってから帰った。
木佐さんが家まで車で送ってくれて、その後はゆっくり過ごしたので、身体も回復した。
ふいに彼の身体の感触を思い出してしまい、ひとりで顔を赤らめた。身体のどこを取っても、木佐さんの跡が残ってる。
別れてから数日しか経っていないのに、石原係長が遠く思えた。
「……それでは、皆さん、せっかくの機会なので、他部署の人とも交流して、楽しんでください。一年間、お疲れさま」
社長の挨拶で立食パーティーが始まった。
始まってしまえば、あとは司会役の社員とホテルの人が段取りしてくれるので、総務部の仕事はほとんどない。
歓談の時間が始まると、みんな、どっと真ん中に設置してあるビュッフェテーブルに群がった。
チーズカナッペ、生ハム、唐揚げ、シュウマイ、パスタ、ローストビーフ、お寿司、蕎麦など、和洋中の料理が見目麗しく銀の皿に並べられている。
私はもう少し空いてから料理を取りに行こうと思って、壁際でちびちびとウーロン茶を飲んでいた。
「宇沙見さん、こんばんは」
「こんばんは」
営業部の斉藤さんに話しかけられた。
たしか木佐さんの同期ぐらいの人だ。
経費精算がずさんで、しばしば差し戻して訂正してもらっている。
訂正の連絡をする度にプライベートなことを聞かれて、ちょっと苦手な人だった。
「料理は取りに行かないの?」
「もう少し人がいなくなってからと思って」
「じゃあ、これつまむ?」
斉藤さんはお皿にローストビーフと生ハム、唐揚げをどっさり盛ってきていた。
お肉ばっかりで、胃がもたれそうだ。
「お肉お好きなんですね」
「いや~、せっかくだから、高そうなものを食べたいと思って。寿司もこれから取りに行くつもり」
「それでしたら、早く行かないとなくなっちゃいそうですよ?」
「本当だ、ヤバい」
お寿司コーナーに目を遣ると、すでに三分の一になっていて、斉藤さんが慌てて取りに行った。
その間にそっと場所を移る。
もう早朝の将司さんとの密会は必要ないから。
総務部のドアを開けると、すでに将司さんは来ていて、視線が合う。
将司さんっていうのも、もう止めないとね。
「おはようございます、石原係長」
「あぁ、おはよう、宇沙見さん」
普通に挨拶が交わせて、ほっとした。
他の同僚とも挨拶しながら、席につく。
今年もあと二日で仕事終いだ。
だけど、うちの会社は最終日に社員全員を集めて、ホテルで立食パーティーを行うから、総務部は最後の最後まで忙しい。
社内の片づけもしないといけないし、仕事が山積みだ。
昨日はブランチを取ってから帰った。
木佐さんが家まで車で送ってくれて、その後はゆっくり過ごしたので、身体も回復した。
ふいに彼の身体の感触を思い出してしまい、ひとりで顔を赤らめた。身体のどこを取っても、木佐さんの跡が残ってる。
別れてから数日しか経っていないのに、石原係長が遠く思えた。
「……それでは、皆さん、せっかくの機会なので、他部署の人とも交流して、楽しんでください。一年間、お疲れさま」
社長の挨拶で立食パーティーが始まった。
始まってしまえば、あとは司会役の社員とホテルの人が段取りしてくれるので、総務部の仕事はほとんどない。
歓談の時間が始まると、みんな、どっと真ん中に設置してあるビュッフェテーブルに群がった。
チーズカナッペ、生ハム、唐揚げ、シュウマイ、パスタ、ローストビーフ、お寿司、蕎麦など、和洋中の料理が見目麗しく銀の皿に並べられている。
私はもう少し空いてから料理を取りに行こうと思って、壁際でちびちびとウーロン茶を飲んでいた。
「宇沙見さん、こんばんは」
「こんばんは」
営業部の斉藤さんに話しかけられた。
たしか木佐さんの同期ぐらいの人だ。
経費精算がずさんで、しばしば差し戻して訂正してもらっている。
訂正の連絡をする度にプライベートなことを聞かれて、ちょっと苦手な人だった。
「料理は取りに行かないの?」
「もう少し人がいなくなってからと思って」
「じゃあ、これつまむ?」
斉藤さんはお皿にローストビーフと生ハム、唐揚げをどっさり盛ってきていた。
お肉ばっかりで、胃がもたれそうだ。
「お肉お好きなんですね」
「いや~、せっかくだから、高そうなものを食べたいと思って。寿司もこれから取りに行くつもり」
「それでしたら、早く行かないとなくなっちゃいそうですよ?」
「本当だ、ヤバい」
お寿司コーナーに目を遣ると、すでに三分の一になっていて、斉藤さんが慌てて取りに行った。
その間にそっと場所を移る。
応援ありがとうございます!
20
お気に入りに追加
250
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる