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そんな変態じゃない①
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──この関係を終わりにさせてください。
言うだけ言うと、悲しくなって目を閉じた。
他人のものじゃなくなった私を木佐さんはどう思うだろう?
つまんないな、なんて顔をされたら、心が壊れそう。
だから、見たくないと思った。
「やだよ」
「えっ?」
予想に反して拗ねた声がして、思わず、目を開けてしまった。
声と同じく、木佐さんの拗ねた顔が目の前にあった。
(この都合のいい関係を続けたいってことかしら?)
そう思ったら、私を囲うように木佐さんの腕が身体に回された。逃さないとでもいうように。
「なんでやっと宇沙ちゃんが俺だけのものになるというのに、手放さないといけないの?」
コツンと額に額を当てて、木佐さんがつぶやく。
その声は想像していたものと違って、切なげだった。
(俺だけのもの?)
「え、だって、木佐さんは他の男の人の匂いがするのがいいんでしょ? 木佐さんを見向きもしない人が」
びっくりして問いかけると、彼は苦笑いした。
「いいや? 普通に嫉妬メラメラだったけど?」
「嫉妬?」
え、待って! なに言ってるの?
そんなこと言われたら、勘違いしちゃう。都合よく解釈しちゃう。
なのに、木佐さんはにんまりと細い目で笑った。
「宇沙ちゃんの全部を上書きして、俺のことだけしか残らないようにしてたつもりだけど、どう?」
「上書きって……。じゃあ、全身を舐め回したのも?」
「それは俺の性癖」
「へ、変態!」
「でも、宇沙ちゃんはその変態のことが好きになったんじゃないの?」
「…………」
たしかに、あらゆるところを上書きされて、私の中には木佐さんしか残ってなかった。一箇所以外。私はほとんど木佐さんに染められていた。
(期待、してもいいのかな?)
考えていたら、自信ありげな木佐さんの顔が曇ってきた。
木佐さんは私の頬を持ち、顔を近づけた。
「ねぇ、黙ってるってことはイエスだよね? 好きになったって言ってよ」
眉が下がり、ツリ目が少し垂れている。
めずらしく弱気な彼の表情に、グッとくる。
もし、勘違いでなかったら、私は木佐さんにひどいことをしてた? それとも、からかってるだけ?
(それでもいい。私はもうこの中途半端な関係を終わらせたい)
私を彼を見つめ返した。
言うだけ言うと、悲しくなって目を閉じた。
他人のものじゃなくなった私を木佐さんはどう思うだろう?
つまんないな、なんて顔をされたら、心が壊れそう。
だから、見たくないと思った。
「やだよ」
「えっ?」
予想に反して拗ねた声がして、思わず、目を開けてしまった。
声と同じく、木佐さんの拗ねた顔が目の前にあった。
(この都合のいい関係を続けたいってことかしら?)
そう思ったら、私を囲うように木佐さんの腕が身体に回された。逃さないとでもいうように。
「なんでやっと宇沙ちゃんが俺だけのものになるというのに、手放さないといけないの?」
コツンと額に額を当てて、木佐さんがつぶやく。
その声は想像していたものと違って、切なげだった。
(俺だけのもの?)
「え、だって、木佐さんは他の男の人の匂いがするのがいいんでしょ? 木佐さんを見向きもしない人が」
びっくりして問いかけると、彼は苦笑いした。
「いいや? 普通に嫉妬メラメラだったけど?」
「嫉妬?」
え、待って! なに言ってるの?
そんなこと言われたら、勘違いしちゃう。都合よく解釈しちゃう。
なのに、木佐さんはにんまりと細い目で笑った。
「宇沙ちゃんの全部を上書きして、俺のことだけしか残らないようにしてたつもりだけど、どう?」
「上書きって……。じゃあ、全身を舐め回したのも?」
「それは俺の性癖」
「へ、変態!」
「でも、宇沙ちゃんはその変態のことが好きになったんじゃないの?」
「…………」
たしかに、あらゆるところを上書きされて、私の中には木佐さんしか残ってなかった。一箇所以外。私はほとんど木佐さんに染められていた。
(期待、してもいいのかな?)
考えていたら、自信ありげな木佐さんの顔が曇ってきた。
木佐さんは私の頬を持ち、顔を近づけた。
「ねぇ、黙ってるってことはイエスだよね? 好きになったって言ってよ」
眉が下がり、ツリ目が少し垂れている。
めずらしく弱気な彼の表情に、グッとくる。
もし、勘違いでなかったら、私は木佐さんにひどいことをしてた? それとも、からかってるだけ?
(それでもいい。私はもうこの中途半端な関係を終わらせたい)
私を彼を見つめ返した。
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