全力でおせっかいさせていただきます。―私はツンで美形な先輩の食事係―

入海月子

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第一章 ― 優 ―

おせっかいの出番②

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 翌朝、栄養バランスばっちりの重箱弁当を持った私は写真部の部室に向かった。
 ノックしてから入ると、遥斗先輩はもう絵を描いていた。昨日まで描いていた絵は完成したのか、新しいキャンバスに木炭で下絵を描いているところだった。

「おはよーございます。お弁当のお届けでーす」
「あぁ」

 お弁当に反応したのか、こちらを振り向く。

「手が汚れているから、そこに置いといてくれ」
「わかりました。でも、先輩……!」

 私はずいっと近づいた。

「誰かになにかをしてもらったら、お礼を言うのが礼儀です」

 遥斗先輩は目を瞬かせる。

「あ、あぁ……ありがとう」

 私はよしよしと頷く。
 意外と素直でびっくりする。

「それとちゃんと感想を言ってくださいね。言ってくれないと作る張り合いがないです」
「感想……?」
「うまいとか、おいしかったとか、最高とか」
「褒めるの一択か?」
「褒められて伸びるタイプなんで。あとどれが気に入ったかも教えてくださいね」
「いろいろ注文がうるさいな」

 遥斗先輩が顔をしかめた。

「だって、気に入ったのを教えてもらったら、それが入る頻度が多くなるんですよ? 気がつくと、お弁当が好きなものばっかり入っているって幸せじゃないですか?」

 私の言葉を吟味してから、遥斗先輩は真顔で首をかしげた。

「わかった。でも、俺には好き嫌いはないからなにを言えばいいかわからない。食べられたらなんでもいいんだ」
「ちょっとでも他より好きなものがあれば言ってくれたらいいんですよ。全部おいしかったでもいいんですけどね」

 嫌いがないのはいいけど、好きなものもないと言っているようで、胸が切なくなる。

「とにかくよく味わって食べてくださいね! また放課後に来ますから」
「あぁ」

 私はお弁当箱を置くと、自分の教室に向かった。



「で、久住先輩はどうだった?」

 お昼にお弁当を広げながら、菜摘ちゃんが聞いてきた。興味津々というように目を輝かせている。

「別に……普通に無愛想…?」
「へー、久住先輩って無愛想なんだ? なんか軟派なイメージだった」
「うん、昨日は上級生もいたけど、その人にも素っ気なかったし。夜担当って言っ……」
「「夜担当!?」」

 菜摘ちゃんとさやちゃんが声を合わせた。
 またもやクラス中の注目を浴びてしまう。
 二人は誤解したようで赤い顔をしている。

「違う違う! そういう意味じゃないって!」

 慌てて手を振って否定する。

「夜ごはん担当ってことだよ!」
「なーんだ、そういうこと」
「私はてっきり……」
「ねー?」

 二人は拍子抜けしたような表情で脱力する。
 そういう意味もあるのかもしれないけど、今のところわからないし、うかつなことは言えない。

「あ、でも、それって、昼も夜もご飯がないってこと?」
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