全力でおせっかいさせていただきます。―私はツンで美形な先輩の食事係―

入海月子

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第一章 ― 優 ―

ゴールデンウィーク②

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 お母さんが促すと、「あ、そうそう、いつもと一緒じゃなかったわ。優にはひとり部屋を用意して、正人さんたち夫婦の部屋も用意したんだった」と叔母さんが慌てて言った。
 去年までお母さんと私が一緒の部屋で、お父さんとお兄ちゃんがひとり部屋だったのだ。

「優はもう高校生だもんね」

 そう言われるとなんだか面映い。

「あんまり変わってないけどね」
「そんなことないもん!」
 
 お兄ちゃんがからかうように笑うから、私はムキになって否定した。
 あー、これが子どもっぽかったかも。

「もう少し落ち着きが出たら……いや、優にはそのままでいてもらいたい気もするし……」

 叔父さんがそうつぶやいた。
 なんか菜摘ちゃんたちに言われたのと同じようなことを言われてる。

(私……もう少し大人になろう!)

 そう心に誓った。



 それぞれ荷物を部屋に置いてきて食堂に集合すると、夕食を食べながら、お互いの近況を報告し合った。

「それで、写真同好会は楽しいか?」

 食後のコーヒーを飲みながら、叔父さんは途中だった話を振ってくれた。
 私は飲んでいたカフェオレのカップを置くと、部屋から持ってきていたファイルを取り出した。

「すごく楽しいよ! 部室に高性能なプリンターがあって、見て、こんなに綺麗にプリントアウトできるの!」

 叔父さんにファイルを渡して、写真を見てもらう。

「確かに、これは綺麗だな。しかも、優、腕を上げたじゃないか。どれもいい写真だ」

 叔父さんに褒められて有頂天になる。叔父さんはプロだから、良くないと思ったものを決して良いとは言わない。

「やったぁ! ちょっと自信あったんだ。特にこれとこれ。こっちは市のコンテストに応募したんだよ」

 例の遥斗先輩の横顔の写真を指差す。

「うん、雰囲気があっていいな。それにしても、この子はどこかのモデルか? ずいぶん綺麗な顔だな」

 それを聞いて、お父さんが苦笑する。

「その子はうちの家族の目下の関心事なんだよ。優も恵子も夢中でな」
「夢中じゃないわよ!」
「お父さん!」

 お母さんと私がお父さんに抗議する。

「だって、毎日その子の話題ばかりじゃないか」
「お父さん、焼きもち?」
「そうじゃない!」

 キョトンとしている叔父さんに、遥斗先輩のことを話した。
 そして、叔父さんにはさらに遥斗先輩の絵の素晴らしさを見てもらおうと、撮ってきた絵の写真を見せる。

「なるほど、これは早熟だな。これで高校生とは恐れ入る」

 叔父さんは絵を見て唸った。

「実物はもっと迫力があるのよ!」

 当たり前だけど、写真ではなかなかリアルな絵の良さが伝わらない。

「実物を見てみたいな」

 仕事の顔つきになって、叔父さんはつぶやいた。
 それを見て、私はひらめいた。

「先輩の絵を叔父さんのギャラリーに置いてもらうことはできない?」
「置くことはできるけど、申し訳ないが、売れないぞ?」

 遥斗先輩に圧倒的に足りないのはお金。それを好きな絵で稼げればいいんじゃないかと思った。
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