全力でおせっかいさせていただきます。―私はツンで美形な先輩の食事係―

入海月子

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第一章 ― 優 ―

おせっかいは迷惑なものです②

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 そんな満ち足りたような笑顔が見れただけで、報われた気になる。

「こんな……」

 遥斗先輩が言いかけて、口をつぐんだ。
 私は首を傾げて、続きを促した。

「こんな風に誰かと食事をするのは久しぶりだな」
「たまにはいいでしょ?」

 私が笑いかけると、先輩はふいっと目を逸らした。
 そして、またこちらを見ると口を開く。

「優……」

 初めて名前を呼ばれて、ドキンと心臓が跳ねた。
 じっと私を見て、遥斗先輩は言った。

「ここまでする必要はない」

 またそれか。
 
 私はふふんっと笑ってみせた。

「私、全力でおせっかいするって言いましたよね? まだ序の口ですよ?」
「……迷惑だって言ったら?」
「おせっかいはたいがい迷惑なものです」

 涼しい顔で反論すると、遥斗先輩はため息をついた。
 
 嫌がっても逃してあげないんだから。
 もう決めたんだから。

「先輩、今日はなにする予定ですか? 一日中、絵?」
「いや、バイトを探しに行く予定だ」
「探しに行く? どこかあてがあるんですか?」
「別に。ただ適当に探すだけだ」

 それを聞いて違和感を覚えた。
 あてがないなら、まずネットで調べればいいのに。
 そう思って、はっと気づいた。
 もしかして、遥斗先輩って、スマホを持っていないんじゃない? 食べるものに困っているぐらいなのにスマホの料金が払えるはずがない。
 こないだまでパソコンも使えなかったから、パソコンで調べるという発想もなさそうだ。

「遥斗先輩、まずそこのパソコンで探しましょうよ。バイト情報がいくらでも載っていますよ」
「そうなのか?」
「はい。一緒に探しましょうよ」

 私は、食べ終わった紙皿とかを持ってきた袋に入れて片づけた。
 パソコンのスイッチを入れる。

「先輩、コーヒー飲みますか?」
「本当にいろいろ持ってきたんだな」

 ちょっとあきれた顔をしながらも遥斗先輩は頷いた。
 私は紙コップにインスタントコーヒーを入れる。

「ミルクと砂糖はいりますか?」
「いらない」
「じゃあ、どうぞ」

 先輩にはブラック、私のにはミルクも砂糖も入れて、コーヒーを作った。

「ここをカフェコーナーにしちゃおうっと」

 ポットを置いた机の上にカップスープの素とインスタントコーヒーの瓶、紙コップを置く。

「ポットとかここに置いておくんで、適当に使ってくださいね。あ、オヤツも置いちゃえ」

 さり気なくロールパンの袋やチョコも置く。
 そして、コーヒーを持って、パソコンの前に移動した。
 遥斗先輩も椅子を持って横に来る。

 ネットで『バイト情報』と地名を入れて検索する。すると、バイト情報サイトが出てくる。

 へー、バイト情報って初めて見た。

「飲食関係がいいんですよね?」
「あぁ、できればまかない付きがいい」
 
 絞り込み検索に『まかない付き』とか『高校生』とかあるから、それにチェックを入れてみる。いろいろ出てくる。
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