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第一章 ― 優 ―

イケメンと美形は違う③

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「うん、でも、和田先生だって、担任でもないし、親類でもないみたいだし。奥さんが遥斗先輩の中学のときの担任だっただけなんだって。あまり責任はないよね?」
「でも、事情を知ってる大人としてなんとかしてほしいよ!」
「そうだよ! ここに遥斗先輩を入れたならちゃんと面倒みてくれないと!」
「それも奥さんに頼まれたみたいだけど」
「じゃあ、なおさらだよー」

 思いの外、二人が和田先生に怒っているので、たじろいだ。
 私もそう思って和田先生のところに行ったんだけど、先生も難しい立場よね……。

「まぁまぁ、学校に図って、改善してくれそうだから」

 先生のフォローをして、プンプンしている二人をなだめる。

「先生に頑張ってほしいよね」
「うんうん」

 菜摘ちゃんの言葉にさやちゃんが頷いて、気分を変えるように言った。

「じゃあ、お弁当箱取りに行く?」
「うん、行こっか。優はここで待ってる?」
「うん。この顔でうろつきたくないし、ここにいるよ」
「わかった。じゃあ、行こー」

 二人が連れ立って出かけていくのを私は見送った。




「ちょっとー、遥斗先輩、マジで美形!!」
「ほんと目の保養だったぁ。イケメンと美形って違うの?って思ってたけど、全然違った! あんな綺麗な人いるのねー」

 しばらく経って、二人は大興奮で帰ってきた。

「先輩はどうだった?」
「んー、普通に無愛想? 『優が用事でお弁当箱を取りに来ました』って言ったら、『そうか』ってお弁当箱を渡されただけ。でも、あのクールな顔がたまらないかも!」
「うん、愛想はないよね。でも、あの顔なら許せる!」

 テンション高い二人についていけずに、苦笑する。

「そう、ありがとう」

 たしかに私も最初の頃は、ぼーっと見惚れて写真を撮りまくっていたけど、最近はそうでもなかったかも。
 美人は三日で飽きるっていうけど、見慣れたからかなー。別に飽きてはないけど。
 帰りに遥斗先輩に会わないで帰るのは初めてだなぁ。

 二人が持ってきてくれたお弁当箱を持って、そそくさと帰った。
 そして、家で心配したお母さんに同じ話を繰り返すことになった。
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