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第三章 

私の魅力②

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「優、超かわいいー!」
「本当、むっちゃ似合うねー」

 裾をワンカールしてもらうと、驚くほど女の子っぽくなった。
 うわぁ、うれしい!

「優ってかわいくなったよねー」
「うん、さすが恋する女の子は違うよねー」
「えっ、ほんと? 色気出た?」
「色気はまだまだだけど……」

 菜摘ちゃんの即答にがっくりする。

「でも、本当にすごくかわいくなったよ。さらにこんな優を見たら、遥斗先輩も放っておけないよね!」
「うんうん、きっとメロメロだね!」
「…………遥斗先輩がメロメロなところなんて想像できないよ」
 
 適当なさやちゃんの言葉に、あり得ないと首を振る。
 それでも、ちょっとはかわいいと思ってくれるといいなーなんて思っていたけど──

 その日、部室に行ったら、遥斗先輩は私をまじまじと見つめた。
 なにか言ってくれるのかなと思ったら、ふいっと目を逸らした。

 目を逸らされた…………!

 がーん。
 
 菜摘ちゃんたちの言葉を真に受けるんじゃなかった。
 二人とも本気で言ってはくれていたけど、よく考えたら、すぐ私をかわいいって言うし、いつも過剰に友達フィルターがかかっていた。
 やっぱり私にはこんな女の子っぽいのは似合わないんだ。

 落ち込んでいたら、わしゃわしゃと頭をなでられた。
 慰めてくれているらしい。
 慰めが必要なほど似合ってない?

「………そんなに似合いませんか?」
「いや、似合ってる」

 ドキンと胸が跳ねる。
 先輩は超真顔だ。からかっている様子はない。

「じゃあ、なんで髪の毛をぐちゃぐちゃにされてるんでしょう?」
「さぁ、なんでだろうな?」

 先輩は本当に不思議そうに首を傾げた。




 ある日、部室に行ったとき、中から真奈美先輩の声がした。
 真奈美先輩は時々こうして遊びに来てくれる。
 ごたごたしていたときも来てくれて、慰めてくれたり、絡まれているところに居合わせたときには助けてくれた。

「優ちゃんが…………」
 
 部室をノックしようとしたとき、自分の名前が聞こえて、止まった。
 
 なに? 私の話題?

 それに答える遥斗先輩の声。
 なにを言っているのかわからなかったけど、ふいにはっきり聞こえた。

「…………付き合うわけないだろ!」
「………って、…………でしょ?」
「…………抱く気になんかならない!」

 私は凍りついた。

 そっかぁ。そうだよね。
 遥斗先輩にとって、私は対象外。だから、そばにいられるんだもんね。
 色気がないから、安心できる存在。
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