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第二十二話 皆で昼食を
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少しだけ疑心が薄れたのか、フェリドはとても自然に話してくる。名前を呼び、紅茶を足しては微笑んでいる。
「そういえば、あのおっかないロイって奴は何者だ?」
談笑で急に真顔になるものだから、私は目を点にしてしまう。
「ロイがおっかない? 噓でしょ?」
とても信じられないが、フェリドはロイに気後れしてる様子だ。誰にも優しく誠実な彼をそんな風に言う人はいない。
「私の婚約者でもあるの、そんな言い方をしたらただじゃ済まないわ」
諭すように伝えるも、彼はその口を閉じようとはしない。
「まあ、貴族なんてのは皆、似たようなものだしな」
へらず口を叩くのも心を許した証拠だと思うが、しかしどうにも納得がいかない。彼はいつも固定観念が強いと感じる。私を年齢以上に子供扱いしたり、貴族のすべてが悪と思っている節がある。
「ちゃんと話せば、きっとその誤解も解けると思うわ」
ロイにフェリドを紹介する、ちょうどいい機会だと思った。フェリドの手を取って、私は彼と一緒にランチをしようと誘う。
「今日はロイとお昼に会う予定なの。ちゃんと話せば、きっとロイは貴方の心情を理解して守ってくれるはずよ」
戸惑うフェリドの手を引き、強引に連れ出していく。授業を抜け出したとかモロモロの小言を受ける覚悟はできている。それよりも二人には仲良くなってほしい。互いにリクシオンの耳飾りを持つ同士で、助けあえればきっといい結果になる。
「俺は邪魔だろ。ティアラと二人きりで会いたいんじゃないか?」
困り顔で躊躇しているが、引かれた手を振りほどくようなことはしない。大丈夫、と念を押してフェリドと共に庭園から王宮に移動する。家庭教師がいる部屋に戻る途中で、運悪く神妙な顔つきのアンナに鉢合わせした。
「今はまだ授業の時間ではありませんか? それに、その方は……」
語尾が弱々しく聞こえない。しかし戸惑いはしっかりと伝わってくる。隣にいたフェリドもどう反応すべきか悩んでいるようだった。
「フェリドは立派な私の公妾よ、一緒にいて何がおかしいの?」
私の一声にアンナも頷き、彼に一礼する。リクシオンの耳飾りを身に着ければ、フェリドは王家の一員だ。今の彼はかなりの高位に値する。
かしこまり頭を下げるアンナにフェリドも困ったようで、彼女に手を差し出した。
「俺にそんな礼は不要です。ここに居るのがおかしい事ぐらい分かってますから」
彼の柔和な態度にアンナも顔を上げるが、決して納得したものではなかった。
「ロイ様がもうすぐ来られます。フェリド様にはお戻り頂くよう進言しますわ」
棘を含んだ声は嫌でも伝わってくる。フェリドも気付いたようで、繋がれた手を離して戻りますと言わんばかりに身を引いている。
「そんな気弱でどうするの? もっとしっかりしないと軽んじられるわ!」
彼の背を押すように強く手を握りしめる。私がいる以上、誰にも彼を手出しさせない。その覚悟はアンナに伝わったようで、失言でした、とすぐに頭を下げて詫びる。
「アンナもいい機会だから一緒にランチをしましょう。改めて彼を紹介するわ」
険悪な雰囲気を振り払うべく、アンナの手も引いていく。躊躇いがあるもののアンナも黙って頷いた。二人の手を繋いで廊下を進んでいく。どこか異質で不思議な組み合わせは、きっと周りには奇妙に見えるだろう。廊下の先へと進み、部屋の手前で同じく迎えに来てたであろうロイと遭遇する。
「アンナにフェリド、か? どうしてティアラと一緒に?」
「一緒に皆で食事がしたかったの」
間髪入れず答えると、ロイはにこやかに微笑んだ。すぐに状況を察したようで、私達を自分の宮に誘いたいと言い出した。
「僕の宮でいいラズベリーが手に入ったんだ。今日はそれを皆にご馳走するよ」
そう言ってロイは私の前に手を差し出す。その手を取るか迷ったが、ここで変な争いを起こしたくはない。フェリドとアンナの手を離して、ロイと共に歩き出す。後ろで二人は少し距離をとって後に続いていく。今日はとにかく移動の多い日だと思いながらも、そんなに疲れてはいない。こうやって皆と居られる時間は楽しいからだ。
「フェリド、君はその服装を直してから来るといい」
宮に着くとロイは侍女に声をかけ、フェリドを連れていく。さすがに庭師の頃の服装は相応しくないと判断したのか、その対応の速さに舌を巻く。
「ティアラとアンナはこちらにどうぞ」
テラスに案内されると、その大きなテーブルにはところ狭しと料理が置かれていた。私が席に着くとアンナはその隣に立っている。私の給仕をするべく彼女はナプキンを手渡し、空のカップに茶を注ごうとする。しかしそれを遮ったのはロイだった。同じく席に着き、今日はゆっくり語ろうと提案してくる。私もそれに同意すると困惑しながら彼女は私の隣の席に座った。
「じゃあ、今日はティアラに話してもらおうか。フェリドとの馴れ初めを」
にこやかに話題を振られて、和やかな雰囲気、とはならずどこか張り詰めた空気を感じる。アンナは何も言わず下を向いたまま動こうとしない。冷やされたラズベリージュースを口に含みながら私はロイに微笑み返した。
少しだけ疑心が薄れたのか、フェリドはとても自然に話してくる。名前を呼び、紅茶を足しては微笑んでいる。
「そういえば、あのおっかないロイって奴は何者だ?」
談笑で急に真顔になるものだから、私は目を点にしてしまう。
「ロイがおっかない? 噓でしょ?」
とても信じられないが、フェリドはロイに気後れしてる様子だ。誰にも優しく誠実な彼をそんな風に言う人はいない。
「私の婚約者でもあるの、そんな言い方をしたらただじゃ済まないわ」
諭すように伝えるも、彼はその口を閉じようとはしない。
「まあ、貴族なんてのは皆、似たようなものだしな」
へらず口を叩くのも心を許した証拠だと思うが、しかしどうにも納得がいかない。彼はいつも固定観念が強いと感じる。私を年齢以上に子供扱いしたり、貴族のすべてが悪と思っている節がある。
「ちゃんと話せば、きっとその誤解も解けると思うわ」
ロイにフェリドを紹介する、ちょうどいい機会だと思った。フェリドの手を取って、私は彼と一緒にランチをしようと誘う。
「今日はロイとお昼に会う予定なの。ちゃんと話せば、きっとロイは貴方の心情を理解して守ってくれるはずよ」
戸惑うフェリドの手を引き、強引に連れ出していく。授業を抜け出したとかモロモロの小言を受ける覚悟はできている。それよりも二人には仲良くなってほしい。互いにリクシオンの耳飾りを持つ同士で、助けあえればきっといい結果になる。
「俺は邪魔だろ。ティアラと二人きりで会いたいんじゃないか?」
困り顔で躊躇しているが、引かれた手を振りほどくようなことはしない。大丈夫、と念を押してフェリドと共に庭園から王宮に移動する。家庭教師がいる部屋に戻る途中で、運悪く神妙な顔つきのアンナに鉢合わせした。
「今はまだ授業の時間ではありませんか? それに、その方は……」
語尾が弱々しく聞こえない。しかし戸惑いはしっかりと伝わってくる。隣にいたフェリドもどう反応すべきか悩んでいるようだった。
「フェリドは立派な私の公妾よ、一緒にいて何がおかしいの?」
私の一声にアンナも頷き、彼に一礼する。リクシオンの耳飾りを身に着ければ、フェリドは王家の一員だ。今の彼はかなりの高位に値する。
かしこまり頭を下げるアンナにフェリドも困ったようで、彼女に手を差し出した。
「俺にそんな礼は不要です。ここに居るのがおかしい事ぐらい分かってますから」
彼の柔和な態度にアンナも顔を上げるが、決して納得したものではなかった。
「ロイ様がもうすぐ来られます。フェリド様にはお戻り頂くよう進言しますわ」
棘を含んだ声は嫌でも伝わってくる。フェリドも気付いたようで、繋がれた手を離して戻りますと言わんばかりに身を引いている。
「そんな気弱でどうするの? もっとしっかりしないと軽んじられるわ!」
彼の背を押すように強く手を握りしめる。私がいる以上、誰にも彼を手出しさせない。その覚悟はアンナに伝わったようで、失言でした、とすぐに頭を下げて詫びる。
「アンナもいい機会だから一緒にランチをしましょう。改めて彼を紹介するわ」
険悪な雰囲気を振り払うべく、アンナの手も引いていく。躊躇いがあるもののアンナも黙って頷いた。二人の手を繋いで廊下を進んでいく。どこか異質で不思議な組み合わせは、きっと周りには奇妙に見えるだろう。廊下の先へと進み、部屋の手前で同じく迎えに来てたであろうロイと遭遇する。
「アンナにフェリド、か? どうしてティアラと一緒に?」
「一緒に皆で食事がしたかったの」
間髪入れず答えると、ロイはにこやかに微笑んだ。すぐに状況を察したようで、私達を自分の宮に誘いたいと言い出した。
「僕の宮でいいラズベリーが手に入ったんだ。今日はそれを皆にご馳走するよ」
そう言ってロイは私の前に手を差し出す。その手を取るか迷ったが、ここで変な争いを起こしたくはない。フェリドとアンナの手を離して、ロイと共に歩き出す。後ろで二人は少し距離をとって後に続いていく。今日はとにかく移動の多い日だと思いながらも、そんなに疲れてはいない。こうやって皆と居られる時間は楽しいからだ。
「フェリド、君はその服装を直してから来るといい」
宮に着くとロイは侍女に声をかけ、フェリドを連れていく。さすがに庭師の頃の服装は相応しくないと判断したのか、その対応の速さに舌を巻く。
「ティアラとアンナはこちらにどうぞ」
テラスに案内されると、その大きなテーブルにはところ狭しと料理が置かれていた。私が席に着くとアンナはその隣に立っている。私の給仕をするべく彼女はナプキンを手渡し、空のカップに茶を注ごうとする。しかしそれを遮ったのはロイだった。同じく席に着き、今日はゆっくり語ろうと提案してくる。私もそれに同意すると困惑しながら彼女は私の隣の席に座った。
「じゃあ、今日はティアラに話してもらおうか。フェリドとの馴れ初めを」
にこやかに話題を振られて、和やかな雰囲気、とはならずどこか張り詰めた空気を感じる。アンナは何も言わず下を向いたまま動こうとしない。冷やされたラズベリージュースを口に含みながら私はロイに微笑み返した。
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