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弓師はルイと言った。ルイは最初に出会った勇者と魔法使いとパーティを組み、レベル上げをしたりアイテム集めをしていた。やがて3人はどうやら本当にログアウトできないと気づき、何かヒントはないかとゲーム内を探索して回ることにした。そしてマップの上にランダムでダンジョンが出ることに気づいた。
ダンジョンに入ってどん詰まりの部屋までたどり着くと、石碑に文字が刻まれていた。
「『いけにえを持つものを祭壇に捧げよ、さすれば滅ぼす者は封印されるだろう』と」
変な言い方だ。「いけにえを祭壇に…」じゃなくて、「いけにえを持つ者を」というのは。
「それで、街に来る奴らを片っ端から殺してたってことか?」
「……まあ、そうだ。勇者の人が、何か持ってるやつが居るんじゃないか、そいつを殺して祭壇に置けばいいんじゃないかって言うから……。でもそんなにたくさんは……。今まで、3人か4人か……。お前たちは初めて見る職のやつらだったから、どうしても殺したかった」
怖っ! 迷いや罪悪感はなかったんだろうか。
「とりあえず、あの、遺体をなんとかしよう。その今まで殺した人たちの遺体はどうしたんだ?」
「街のはずれに崖があって。持ち物を調べてから、そこに捨てた」
「捨てたって……」
案内してもらって見に行く。切り立った崖が眼下のブロッコリの群れみたいな森に向かって突き出している。
「突き落とすなよ!」
「フリか」
「フリじゃない!」
崖に這いつくばって頭だけ出している俺の背中をサタン様が片足で踏んだ。落ちないようにしてくれているのか? S的なキャラ作りなのか? いずれにせよ悪くない。たしかにかなり下の方に遺体らしきものが折り重なっている。カラス的なものや犬的な生き物が匂いを嗅いだり啄ばんだりしているのが遠目にも見えた。
「うーん……俺としては落としてハイおしまいっていうのはなあ……」
「おい弓師、お前、変なことを考えるなよ。私のスキルは知っているだろう」
「……俺だって、好き好んでPKしてたわけじゃないんだ。Zacさん……あの、勇者の人が怖くて言うこと聞いてただけだよ」
仕方がないので、またサタンに穴を掘って(開けて)もらって遺体を埋める。今回は土かけ要員がもう一人いたので少し楽だった。
「じゃあ、俺たちのパーティメンバーがいる街に行くか。あんたも一人じゃ心細いだろ」
「うん」
俺がサタンを背負うとルイは驚いたようだが、歩くのが面倒だと言うサタンの堂々たる主人ぶりに納得したらしく何も言わなかった。さすがサタン様でござる。
「ただいまあ」
街の広場に出る。たいていここでぶつくさやっている齊藤と田宮がいない。レベル上げにでも行ったのかと思っていると、ぱっと二人が現れた。
「おっ! 齊藤さん、田宮さん。俺たちもちょうど今帰って来たんだ」
「探してたんだ」
齊藤がいつになく優しい声で言った。
「やっぱりさ、襲って来た人たち、クリアのヒント知ってたみたい。えーと、なんだっけ」
サタンを背から降ろしながらルイさんの方を見る。
「あ」
あ?
ルイさんの視線を追うと、齊藤と田宮が俺の後ろに立ったサタンの口を手で押さえ、剣を突き刺そうとしていた。
「ちょ!!!」
思わず体を割り入れる。びっと着物の前合わせが裂け、剣が触れた皮膚から赤い血が噴き出す。サタンの手が俺の肩を掴む。
「『妨げる者』!」
「う」
「早くこっちへ」
齊藤は俺たちよりレベルが低いのですぐには解けないが、田宮は時間が短い。サタンが俺の腕を強く握って走り出す。温泉を通り、街の外へ。
「パーティのままじゃ追われる。抜けるぞござる」
「抜け方がわからん」
[『共闘解除』ですよ]
「共闘解除」
なんでいきなりサタンを殺そうとした? わからない。あいつらもPKすればログアウトできると思い始めたのか? なんでだ? マップを開く。ともあれ逃げないといけない。ルイさんも置いて来てしまった。
「お、ダンジョンがある」
マップに先ほどまではなかった洞窟のようなマークが出ている。ルイさんもダンジョンでヒントを見つけたと言っていた。
「どうせだから行ってみるか?」
「どこでもいい」
「レベルは大丈夫かな? ニド」
[今は何もいませんから]
改めてサタンを背負い直して、初ダンジョンに足を向ける。何かわかるかも知れない。
ダンジョンに入ってどん詰まりの部屋までたどり着くと、石碑に文字が刻まれていた。
「『いけにえを持つものを祭壇に捧げよ、さすれば滅ぼす者は封印されるだろう』と」
変な言い方だ。「いけにえを祭壇に…」じゃなくて、「いけにえを持つ者を」というのは。
「それで、街に来る奴らを片っ端から殺してたってことか?」
「……まあ、そうだ。勇者の人が、何か持ってるやつが居るんじゃないか、そいつを殺して祭壇に置けばいいんじゃないかって言うから……。でもそんなにたくさんは……。今まで、3人か4人か……。お前たちは初めて見る職のやつらだったから、どうしても殺したかった」
怖っ! 迷いや罪悪感はなかったんだろうか。
「とりあえず、あの、遺体をなんとかしよう。その今まで殺した人たちの遺体はどうしたんだ?」
「街のはずれに崖があって。持ち物を調べてから、そこに捨てた」
「捨てたって……」
案内してもらって見に行く。切り立った崖が眼下のブロッコリの群れみたいな森に向かって突き出している。
「突き落とすなよ!」
「フリか」
「フリじゃない!」
崖に這いつくばって頭だけ出している俺の背中をサタン様が片足で踏んだ。落ちないようにしてくれているのか? S的なキャラ作りなのか? いずれにせよ悪くない。たしかにかなり下の方に遺体らしきものが折り重なっている。カラス的なものや犬的な生き物が匂いを嗅いだり啄ばんだりしているのが遠目にも見えた。
「うーん……俺としては落としてハイおしまいっていうのはなあ……」
「おい弓師、お前、変なことを考えるなよ。私のスキルは知っているだろう」
「……俺だって、好き好んでPKしてたわけじゃないんだ。Zacさん……あの、勇者の人が怖くて言うこと聞いてただけだよ」
仕方がないので、またサタンに穴を掘って(開けて)もらって遺体を埋める。今回は土かけ要員がもう一人いたので少し楽だった。
「じゃあ、俺たちのパーティメンバーがいる街に行くか。あんたも一人じゃ心細いだろ」
「うん」
俺がサタンを背負うとルイは驚いたようだが、歩くのが面倒だと言うサタンの堂々たる主人ぶりに納得したらしく何も言わなかった。さすがサタン様でござる。
「ただいまあ」
街の広場に出る。たいていここでぶつくさやっている齊藤と田宮がいない。レベル上げにでも行ったのかと思っていると、ぱっと二人が現れた。
「おっ! 齊藤さん、田宮さん。俺たちもちょうど今帰って来たんだ」
「探してたんだ」
齊藤がいつになく優しい声で言った。
「やっぱりさ、襲って来た人たち、クリアのヒント知ってたみたい。えーと、なんだっけ」
サタンを背から降ろしながらルイさんの方を見る。
「あ」
あ?
ルイさんの視線を追うと、齊藤と田宮が俺の後ろに立ったサタンの口を手で押さえ、剣を突き刺そうとしていた。
「ちょ!!!」
思わず体を割り入れる。びっと着物の前合わせが裂け、剣が触れた皮膚から赤い血が噴き出す。サタンの手が俺の肩を掴む。
「『妨げる者』!」
「う」
「早くこっちへ」
齊藤は俺たちよりレベルが低いのですぐには解けないが、田宮は時間が短い。サタンが俺の腕を強く握って走り出す。温泉を通り、街の外へ。
「パーティのままじゃ追われる。抜けるぞござる」
「抜け方がわからん」
[『共闘解除』ですよ]
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なんでいきなりサタンを殺そうとした? わからない。あいつらもPKすればログアウトできると思い始めたのか? なんでだ? マップを開く。ともあれ逃げないといけない。ルイさんも置いて来てしまった。
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マップに先ほどまではなかった洞窟のようなマークが出ている。ルイさんもダンジョンでヒントを見つけたと言っていた。
「どうせだから行ってみるか?」
「どこでもいい」
「レベルは大丈夫かな? ニド」
[今は何もいませんから]
改めてサタンを背負い直して、初ダンジョンに足を向ける。何かわかるかも知れない。
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