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第301話 機動戦士ガンダムSEED(2002-03年)
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さて、いよいよ今回からガンダムシリーズを仕切り直した名作『機動戦士ガンダムSEED』(以下SEEDと略記)に行ってみましょう!
なお、過去の話でうっかり『Seed』と小文字表記したことがあったような気もするのですが、今後はきちんと『SEED』で統一いたします。
さて、今回は本論に入る前に、今まで私が見た限りでは誰も書いてないことを書きたいと思います。いや、ネット世界は広いので、どこかで既に指摘されてるのかもしれませんが、私が見た限りでは、この指摘をしている人はいませんでした。
それが何かというと「『ガンダムSEED』は実は『ターンAガンダム』である」ということです。
は? と思われたかもしれません。しかし、これには文献的な証拠があります。
富野由悠季監督が書いたエッセイ『ターンAの癒やし』から引用いたしましょう。図書館で借りられたのがハルキ文庫版なので、そちらからの引用になります。
『ターンA』の企画時の話として、富野監督が書いていたのです。以下引用。
「一方、同級生を敵味方にするとか、逃げ回るホワイトベース(味方の戦艦)で先輩後輩の絆をえがくとか、主人公をシャア(敵方のヒーロー)のわきにおくというような話もあるという。それは社長とふたりでいやだねぇといいあって……(以下略)」
〔出典:富野由悠季『ターンAの癒やし』(角川春樹事務所、2002年)P.14より〕
さて、お分かりいただけたでしょうか?
(1)同級生を敵味方にする
これ、明らかにキラとアスランの関係です。
(2)逃げ回るホワイトベース(味方の戦艦)で先輩後輩の絆をえがく
ちょっと違う形になってますが、逃げ回る戦艦アークエンジェルの中での人間模様が描かれています。
(3)主人公をシャア(敵方ヒーロー)のわきにおく
アスランをダブル主人公と考えると、シャアにあたるラウ・ル・クルーゼの側近として配置されています。
要するに『SEED』には、『ターンA』の企画時に富野監督に否定されたアイデアが全部盛り込まれているんですよ。
私が以前に図書館で単行本版を読んだ記憶だと、これらは若手からのアイデアとして出されたのを富野監督が全否定したように書いてあった気もするのですが、文庫版で記述が変わったのか、私の記憶違いかは定かではありません。
とにかく、富野監督が「いやだねぇ」と言った内容で、『SEED』はヒットしたわけです。
そう、ヒットしたんです。二十一世紀最初のガンダムは。
本作はプラモが売れました。視聴率的にも悪くなかった。何しろ、本作の放送時間帯であるTBS系土曜午後六時は、本作のあと「土六」と呼ばれてアニメがヒットする時間帯と認識されることになったのですから。
さて、本作は明確に初代『ガンダム』のリメイクを志向しています。コロニーと地球の対立をテーマにしており、その対立の背景には「コーディネーター」と「ナチュラル」の人種対立があります。
本作の「コーディネーター」は遺伝子改造によって能力を強化された人間です。初代『ガンダム』の「ニュータイプ」のような感応力は無いのですが、そもそもスペックが違う。コーディネーターは主に「プラント」と呼ばれるスペースコロニーに居住しており、地球に住んでいるナチュラルと対立しています。
その一方で、ニュータイプのような感応力や超能力を発揮する者も一部に存在します。彼らが能力を発揮する前には、宝石状の種が割れるシーンが象徴的に挿入されます。これが、本作のタイトルになっている『SEED』(=種)ではないかと思われます。
初代『ガンダム』の「ミノフスキー粒子」にあたるギミックが「ニュートロンジャマー」です。これは、核分裂反応を抑止する装置で、これを使うと原子力が一切使えなくなります。また、この『SEED』世界は技術力が高い割に常温核融合が実用化されていないので、核融合も起こせなくなっています。それから、副作用として電波を妨害するので、ミノフスキー粒子と同じようにレーダーや電波誘導兵器が使えなくなります。ただ、初代『ガンダム』世界とは違って赤外線探知やレーザー通信は生きているので、まったくセンサー無効になったり無線誘導ができないわけではありません。
こうした世界背景によって、MSが存在する理由付けがされています。最初はプラント側である「ザフト」しかMSは持っていませんでした。それに対抗するため「地球連合軍」が初めて開発したMSが五体のガンダムシリーズだったのです。
ただし、この「ガンダム」というのは、本作においては主人公であるキラがコクピットのモニターに表示されたOSの頭文字を続けて読んで付けた愛称になります。
ただ、試作段階だとナチュラルには操作が難しすぎて、コーディネーターしか操縦できませんでした。そこで、コーディネーターである主人公キラ・ヤマトがパイロットをしないといけなくなってしまうというのが序盤の設定になります。
さて、本作は当然のように複数回にわたって書いていくことになります。次回からは、主役ロボ「ストライク」や二号主役ロボ「フリーダム」などについて語りたいと思います。
なお、過去の話でうっかり『Seed』と小文字表記したことがあったような気もするのですが、今後はきちんと『SEED』で統一いたします。
さて、今回は本論に入る前に、今まで私が見た限りでは誰も書いてないことを書きたいと思います。いや、ネット世界は広いので、どこかで既に指摘されてるのかもしれませんが、私が見た限りでは、この指摘をしている人はいませんでした。
それが何かというと「『ガンダムSEED』は実は『ターンAガンダム』である」ということです。
は? と思われたかもしれません。しかし、これには文献的な証拠があります。
富野由悠季監督が書いたエッセイ『ターンAの癒やし』から引用いたしましょう。図書館で借りられたのがハルキ文庫版なので、そちらからの引用になります。
『ターンA』の企画時の話として、富野監督が書いていたのです。以下引用。
「一方、同級生を敵味方にするとか、逃げ回るホワイトベース(味方の戦艦)で先輩後輩の絆をえがくとか、主人公をシャア(敵方のヒーロー)のわきにおくというような話もあるという。それは社長とふたりでいやだねぇといいあって……(以下略)」
〔出典:富野由悠季『ターンAの癒やし』(角川春樹事務所、2002年)P.14より〕
さて、お分かりいただけたでしょうか?
(1)同級生を敵味方にする
これ、明らかにキラとアスランの関係です。
(2)逃げ回るホワイトベース(味方の戦艦)で先輩後輩の絆をえがく
ちょっと違う形になってますが、逃げ回る戦艦アークエンジェルの中での人間模様が描かれています。
(3)主人公をシャア(敵方ヒーロー)のわきにおく
アスランをダブル主人公と考えると、シャアにあたるラウ・ル・クルーゼの側近として配置されています。
要するに『SEED』には、『ターンA』の企画時に富野監督に否定されたアイデアが全部盛り込まれているんですよ。
私が以前に図書館で単行本版を読んだ記憶だと、これらは若手からのアイデアとして出されたのを富野監督が全否定したように書いてあった気もするのですが、文庫版で記述が変わったのか、私の記憶違いかは定かではありません。
とにかく、富野監督が「いやだねぇ」と言った内容で、『SEED』はヒットしたわけです。
そう、ヒットしたんです。二十一世紀最初のガンダムは。
本作はプラモが売れました。視聴率的にも悪くなかった。何しろ、本作の放送時間帯であるTBS系土曜午後六時は、本作のあと「土六」と呼ばれてアニメがヒットする時間帯と認識されることになったのですから。
さて、本作は明確に初代『ガンダム』のリメイクを志向しています。コロニーと地球の対立をテーマにしており、その対立の背景には「コーディネーター」と「ナチュラル」の人種対立があります。
本作の「コーディネーター」は遺伝子改造によって能力を強化された人間です。初代『ガンダム』の「ニュータイプ」のような感応力は無いのですが、そもそもスペックが違う。コーディネーターは主に「プラント」と呼ばれるスペースコロニーに居住しており、地球に住んでいるナチュラルと対立しています。
その一方で、ニュータイプのような感応力や超能力を発揮する者も一部に存在します。彼らが能力を発揮する前には、宝石状の種が割れるシーンが象徴的に挿入されます。これが、本作のタイトルになっている『SEED』(=種)ではないかと思われます。
初代『ガンダム』の「ミノフスキー粒子」にあたるギミックが「ニュートロンジャマー」です。これは、核分裂反応を抑止する装置で、これを使うと原子力が一切使えなくなります。また、この『SEED』世界は技術力が高い割に常温核融合が実用化されていないので、核融合も起こせなくなっています。それから、副作用として電波を妨害するので、ミノフスキー粒子と同じようにレーダーや電波誘導兵器が使えなくなります。ただ、初代『ガンダム』世界とは違って赤外線探知やレーザー通信は生きているので、まったくセンサー無効になったり無線誘導ができないわけではありません。
こうした世界背景によって、MSが存在する理由付けがされています。最初はプラント側である「ザフト」しかMSは持っていませんでした。それに対抗するため「地球連合軍」が初めて開発したMSが五体のガンダムシリーズだったのです。
ただし、この「ガンダム」というのは、本作においては主人公であるキラがコクピットのモニターに表示されたOSの頭文字を続けて読んで付けた愛称になります。
ただ、試作段階だとナチュラルには操作が難しすぎて、コーディネーターしか操縦できませんでした。そこで、コーディネーターである主人公キラ・ヤマトがパイロットをしないといけなくなってしまうというのが序盤の設定になります。
さて、本作は当然のように複数回にわたって書いていくことになります。次回からは、主役ロボ「ストライク」や二号主役ロボ「フリーダム」などについて語りたいと思います。
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