たとえこの身体が人でなくなっても

ジャン・幸田

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プロローグ・とある町の片隅で

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 従来の人類から別の新人類へと進化していった後の話の事である。次のステージへ進化できなかった人類は一種の「保護動物」のような扱いを受けていた。「保護区」と呼ばれる地域に隔離されていた。「保護区」では食料やエネルギーの供給は十分であったが、厳しい管理社会であり行動も制限されていた。

 そんな「保護区」のひとつである「エリア513:セト」に一組の疑似親子がいた。

 「ねえ、ママ。晩御飯はなあに?」

 8歳の少女サラは外から拾ってきた金属くずをバケットに移しながら尋ねていた。サラにとって旧文明の残滓である金属くずは活動に必要な資金集めの一環であった。

 「今日はカレーよ。中身はチキンよ!」

 ママは優しく言ったがサラは少々残念だった。チキンとは安価な配給品の合成肉だったからだ。サラは表情に出していたのでママは不満だとわかった。表情も変えずにママはいった。

 「そんなふうにはぶてないのよ! 良いお肉は大事に取っておかないといけないからね」

 「ごめんなさい! でもママ、いつもあたしだけの為にご飯を作ってくれてありがとう」

 サラはそういってママにはぐした。ママは温かさを感じる事は出来たが身体は堅かった。ママはガイノイドだったからだ。
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