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弐:ロボットウーマン希美はメイド少女

2-3メイドロボへ

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 他のロボットウーマンよりも早く希美は任務を与えられた。それは予期していなかったメイドロボとしてだった。無理だと分かったうえで上司にそれでで行き先はどこなのですか? と尋ねてみたが、答えてくれなかった。今はロボットなんだから拒否権はないので、それすらも教えてもらえなかった。

 上司のロボットから、お前はただ行けば良いの一点張りだった。ロボットとして問題なく稼働すればいいからだ。少し前まで不良とレッテル貼りされ反政府活動に従事していたのに、今では自由のないロボットウーマンでメイドロボなのだから仕方なかった。ちなみにメイドロボといっても外装を大きく変える改修は行われず、ソフトウェアの入れ替えだけが行われた・

 準備が整った希美は出発した、というよりも出荷と言った方が正しいのかもしれない今は。彼女人間ではなくモノなのだから。希美を乗せたカートは超高層建築群のどこかの荷物ターミナルにでも連れて行かれて、そこから搬送用バンと乗せられた。そして外の世界へと向かった。

 この時代の都市は全て超高層建築群の中にで構成されており、その周辺は自然環境が人工的に再現されていた。その中に住むことができる人間は、特権階級とされる新人類ともしくは同格のもの、もしくは農場という名の矯正施設に収容される「保護」された人類のみであった。

 希美は結局のところ都会から出されるんだということに失望を覚えたが、今更言っても仕方がないことであった。いまは機械ロボットウーマンメイドロボモノ であるから。
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