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香奈との出会い
人形娘の心のつぶやき
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夜明け前、私は目を覚ました。いま体は人形娘の中に閉じ込められている。わたしは人間だった時は沢村香奈だったはずだ。いまはこんな姿にされてしまっているけど。
この大都会で頼れる人を探して転がり込んだのが、幼馴染の迫水智樹の部屋だったの。彼は引越しする直前だったので会えてラッキーだったと思う。もし一日遅かったらとおもうとゾットするわ。
彼の部屋は木造のボロアパートで隙間風が吹き込んでいた。こんな異様な姿に改造されていても、その感覚がわかるのだから不思議だった。また窓からは不夜城のような繁華街の明かりが差し込んでいたが、その明りがわずかに私の今の体を照らしていた。もう人間ではない体を・・・
今の私は子供のころ父の和明に買ってもらった着せ替え人形のような体になっていた。見ようによってはマネキンそのもののようだけど、大きく違うのは自分の意思で動くし、人間の心を持っていることだ。
横で眠っている彼は、こんな私を受け入れてくれて一緒に故郷に帰ろうといってくれたけど、本当のところ私を香奈だと信じていない様子だった。けっこう疑り深く聞いてきたからだ。
しかし、それは無理もないことだと思う。私だってこんな人形娘が来て保護してくれといったって、たぶん協力はしなかったと思う。それに今の私はあるひとつの考えが浮かんでいたのだ。いまの私は人間であったという自我を持たされただけの人形ではないかと。もし、それが真実なら私の自我というものがあるのが悲しいし切ないと思う、
だけど、人間だったのにこんな人形娘に改造されたのが真実なら、もっと切ないと思う。なぜなら人間ならいますぐ目の前にいる智ちゃんにキスをすることが出来るし、私を”女”にしてくれるはずなのに。あの裏切った親友の亜佐美みたいに!
そう思って智ちゃんの顔を見ると子供の時の幼い思い出の顔とダブって見えてきた。その顔は大人びていたけどあの頃の面影が残っていた。一方の私といえば人形にされてしまているのだ! それもお伽話のように魔法ではなく科学技術によってだ!
だいたい人間を人形娘に改造する理由がわからなかった。同じ日に同じように人形娘にされた女性は複数いたけど、彼女らがいま何をしているのかと思うと恐ろしく思う。私をこんなふうにした”奴ら”の話では自我を書き換えて出荷するといっていたからだ。それが本当なら人間を人形にしてモノとして売りさばく闇のブローカーがいるということになる!
そう思うと智ちゃんにも危害が及ぶ危険であるのは予見できた。しかし彼を頼らなければ人形になってしまったわたしがこの世界で過ごせる望みは殆どないのだからしかたなかった。
なんとか、自分の部屋に戻ってみたけど、銀行カードなどを持ち出したと入れ替わりに”奴ら”がわたしの部屋の荷物を持ち出していったの、だからわたしはもう戻る場所はなかった。通りかかりの人に頼み込んでわたしの僅かな貯金を引き出してもらったけど、その口座もたぶん引きおろすと”奴ら”に特定されるだろうなと思って、もうわたしのお金は下ろせないと残念に思っていた。都会に出てきて貯めた貯金なのに・・・
それで転がり込んだのが智ちゃんのところだったけど、筆談でしかコミュニケーション出来ないのがもどかしかった。しゃべれないというのがこんなにも難しい事だと思わずにはいられなかった。
私は人形娘の体で智ちゃんをぎゅっと抱きしめていた。こんなに私の心は熱いもので溢れているはずなのに、彼に伝えられないのは切なく悲しかった。それに処女のままこんな体になってしまった自分もいやでたまらなかった。
明日からは智ちゃんと一緒に生きていこうと人形娘の姿に閉じ込められた自分に誓っていた。それにしても、本当に人形娘から抜け出せる日が来るのだろうか?
この大都会で頼れる人を探して転がり込んだのが、幼馴染の迫水智樹の部屋だったの。彼は引越しする直前だったので会えてラッキーだったと思う。もし一日遅かったらとおもうとゾットするわ。
彼の部屋は木造のボロアパートで隙間風が吹き込んでいた。こんな異様な姿に改造されていても、その感覚がわかるのだから不思議だった。また窓からは不夜城のような繁華街の明かりが差し込んでいたが、その明りがわずかに私の今の体を照らしていた。もう人間ではない体を・・・
今の私は子供のころ父の和明に買ってもらった着せ替え人形のような体になっていた。見ようによってはマネキンそのもののようだけど、大きく違うのは自分の意思で動くし、人間の心を持っていることだ。
横で眠っている彼は、こんな私を受け入れてくれて一緒に故郷に帰ろうといってくれたけど、本当のところ私を香奈だと信じていない様子だった。けっこう疑り深く聞いてきたからだ。
しかし、それは無理もないことだと思う。私だってこんな人形娘が来て保護してくれといったって、たぶん協力はしなかったと思う。それに今の私はあるひとつの考えが浮かんでいたのだ。いまの私は人間であったという自我を持たされただけの人形ではないかと。もし、それが真実なら私の自我というものがあるのが悲しいし切ないと思う、
だけど、人間だったのにこんな人形娘に改造されたのが真実なら、もっと切ないと思う。なぜなら人間ならいますぐ目の前にいる智ちゃんにキスをすることが出来るし、私を”女”にしてくれるはずなのに。あの裏切った親友の亜佐美みたいに!
そう思って智ちゃんの顔を見ると子供の時の幼い思い出の顔とダブって見えてきた。その顔は大人びていたけどあの頃の面影が残っていた。一方の私といえば人形にされてしまているのだ! それもお伽話のように魔法ではなく科学技術によってだ!
だいたい人間を人形娘に改造する理由がわからなかった。同じ日に同じように人形娘にされた女性は複数いたけど、彼女らがいま何をしているのかと思うと恐ろしく思う。私をこんなふうにした”奴ら”の話では自我を書き換えて出荷するといっていたからだ。それが本当なら人間を人形にしてモノとして売りさばく闇のブローカーがいるということになる!
そう思うと智ちゃんにも危害が及ぶ危険であるのは予見できた。しかし彼を頼らなければ人形になってしまったわたしがこの世界で過ごせる望みは殆どないのだからしかたなかった。
なんとか、自分の部屋に戻ってみたけど、銀行カードなどを持ち出したと入れ替わりに”奴ら”がわたしの部屋の荷物を持ち出していったの、だからわたしはもう戻る場所はなかった。通りかかりの人に頼み込んでわたしの僅かな貯金を引き出してもらったけど、その口座もたぶん引きおろすと”奴ら”に特定されるだろうなと思って、もうわたしのお金は下ろせないと残念に思っていた。都会に出てきて貯めた貯金なのに・・・
それで転がり込んだのが智ちゃんのところだったけど、筆談でしかコミュニケーション出来ないのがもどかしかった。しゃべれないというのがこんなにも難しい事だと思わずにはいられなかった。
私は人形娘の体で智ちゃんをぎゅっと抱きしめていた。こんなに私の心は熱いもので溢れているはずなのに、彼に伝えられないのは切なく悲しかった。それに処女のままこんな体になってしまった自分もいやでたまらなかった。
明日からは智ちゃんと一緒に生きていこうと人形娘の姿に閉じ込められた自分に誓っていた。それにしても、本当に人形娘から抜け出せる日が来るのだろうか?
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