上 下
7 / 11
路傍を拝む老人

路傍の岩

しおりを挟む
 老人が拝んでいた辺りになにがあったのか、気になっている村人は数多くいたのだが、村人の嘉平はある考えを持っていた、そこにお宝が眠っているんじゃないかと。老人はそのお宝が盗まれていないかを毎日確認していたのではないかと。拝んでいたのはそれを誤魔化すためたっだんだ、そうなんだと。

 そこで嘉平は村人が寝静まった満月の夜、その拝んでいた路傍にある岩を掘ってみようと思った。この時、嘉平は家から鍬を持ち込んできて岩と岩との間に入れては石をどかし始めた。このとき月明りだけが頼りだったが、岩の下を一尺ほど掘り下げたところで雲が出て薄暗くなった。取りあえず嘉平はもう少ししたら帰ろうと思っていた矢先の事だった。なにやら鍬は柔らかいものにぶち当たった感触があった。

 柔らかい? いったい何だろうと思い、鍬を引き上げてから手で掘り始めた。その土にものすごい違和感を感じたが、それは何かは分からなかった。何分かかったのか分からないが、鍬が触れたそれらしきものが出てきた、それは・・・どうやら人間の骨のようだった。
しおりを挟む

処理中です...