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公爵令嬢ジャンヌの計画

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 祖父と兄が亡くなって母が発狂してから三年間、ジャンヌは将来の当主として厳しい試練をこなしていた。もともと学業も優秀で男だったら最終的には宰相にもなれたといわれていたので、職務そのものはつつがなくこなしていた。

 しかし、婚約者が無能で公爵家のある地方に来るのを嫌がったため、そばにいたのはピーターであった。一緒に時間を過ごしているうち、ジャンヌは本当は彼と添い遂げたいと思うようになっていたが、公爵家の次期当主の責任感から心に蓋をしてきたが、これからは辞めようと心に誓っていた。

 「ジャンヌさまも分かってのことですが、もはや公爵家どころかこの国も沈みゆく船です。選択肢は残っておりません。なんとかジェイソン殿の魔の手を振り払うか、亡命するかです」

 「亡命ですか? どこか当てでも?」

 「はい、和平派の亡命政府があるアルヴァンです。あそこでしたらなんとかなります。もっとも公爵家は出奔した時点でお取りつぶしですが」

 ジャンヌはそれもいいかと思ったが、お取りつぶしになれば叔父たちに公爵家を渡さずにすむが、数多くの人々に迷惑をかける事に気付いた。

 「それは、ちょっとだめね。それに叔父様たちは黙っていないでしょうね。次は私の命を奪うつもりよ、きっと」

 「そうでしょうね、先代当主様の跡を追ったと、シナリオを用意している。そんな情報があります」

 「それじゃ・・・叔父様の術中にはまったということで、全てを終わらしましょうか?」

 「終わらせる? それって?」

 「ええ、なにもかも叔父様と従姉妹に奪ってもらうわ! そうすれば・・・ピーターと一緒になれるわ」

 そういってピターを見つめるジャンヌの目は輝いていた。
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