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2023年の短編(一話完結)
兵役に行って戻ったら弟に妻を寝取られいた
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長い戦争がようやく終わった。祖国は敗北したが何とか生きて帰れたと男は安堵していた。男が所属していた部隊は敵国奥深くに進軍したため、孤立化してしまった。和睦が成立するまで遊撃部隊として活動していた事から被害は甚大だった。生きて戻れたのは五分の一だった。
一時的に抑留され祖国への帰還を許されたのは終戦後1年が経過していた。故郷に戻るのは5年ぶりであったが、気がかりな事があった。過去三年間音信不通にしていたことだ。部隊が行方不明とされていたうえに郵便事情が悪く妻へ安否確認していなかった。一応政府が連絡しているということであるが、混乱がひどいと聞いていた。その心配は不幸にも的中してしまった。
※※※※
故郷の町は戦線から遠く離れていたので出て行ったままであった。ただ、人の姿は様変わりしていた。戦争の影響で貧窮しているようだった。そうみていると駆け寄ってくるものがいた。
「お前! 生きていたのか?」
それは近所の老人だった。随分老けていたが、男を見る目が怯えているのに気づいた。
「ああ、軍部の上層部に死んだ事にされたが、生きて帰れた!」
「そうなのか・・・気を悪くしないでくれ。お前が戦死したというので、お前の妻は再婚しているぞ!」
その言葉に男は驚くしかなかった・・・・
※※※※
妻とは家同士の約束で結婚した。本当は婚礼のあとに夫婦の契りをしなければならないところであったが、急な動員令のため形だけの婚礼をした直後に行ってしまった。だから白い結婚だった。それでも、気にしていたのだが形式的な関係なので情を持てなかった。それでも、生きて帰れたら償っていくことを心の支えにしていたのであったが・・・
自分の墓を確認して妻が待っているはずのない実家に戻った。すると、そこには弟が驚いた顔をしていた。
「あ、兄貴、生きていたのか?」
「ああ、こうしてな!」
「すまない・・・ちょっと来てくれないか」
弟に誘われ実家の裏山に行った。すると弟が丸太で殴ってきた。でも、そんな攻撃は男からすれば戦場では生ぬるいものなので、即座に排除し弟を拘束した。
「なにするんだ!」
「し、死んでいたままでいてほしかったんだ・・・まさか生きて帰れないから、そう思って・・・」
「なんでそんなことをいう!」
「あ、兄貴の・・・嫁と結婚したから・・・都合がわるいんだよ、生きていたら!」
男の妻は弟に寝取られていたようであった!
男は長男なので一家の主になるはずだった。だから家同士の約束で妻を娶ったはずだった。でも、戦争が全てを狂わしたのであった。戦死したということになり、弟が次期当主になり兄嫁を娶ることになった。それで全てが丸く収まっていたはずだ。
「本当に帰ってくるとは」
弟の説明に男は仕方ないと思っていた。実際、部隊の中にそんな話があったからだ。しかし、弟は罪を自白した。
「兄貴にはすまないが・・・政府から生存しているという郵便を受け取ったんだ。嫁と結婚する直前に。でも、別れたくないから握りつぶしたんだ。それに、本当に生きて帰れないかもしれないような気がしたし・・・」
弟は本当に寝取っていた! それを聞いて男は怒りが込み上げてきた。逆に弟を殺したいと。でも、次の言葉で躊躇した。妻のお腹に子供が宿っていると! 幸せを奪わないでほしいと!
「勝手だな! 俺が戻れたというのに全て奪っていたなんて!」
弟に全てを奪われていたのだ。悪意を持って! でも、これから弟から奪い返すのは難しい事もわかった。
「わかった、これから消えよう! そのかわり、最後に実家に戻りたい。お前の妻が不在の時に!」
男は全てを捨てる気になった。その前に、自分が暮らしていた家を見てからと。三日後、弟が妻を実家に行かした際にこっそり尋ねることになった。
※※※※
男は実家に戻り、母に最後の挨拶をいって自分の部屋から少しばかりの物を持ち出した。死んだ事にされた人間なので消えるしかなかった。男は故郷を後にしようとしたとき、一人の娘が駆け寄ってきた。それは、家で働いていた娘だった。彼女は男と一緒に行くと、そして夫婦になりたいと。
※※※※
男は戦死した。そうしていたが少なくない者が男が戻っていたことに気付いていた。それは噂となっていた。そのため、あることない事尾ひれがついたうわさ話になっていた。その噂話に弟夫婦は打ちのめされてしまった。そのため、終生兄に関する噂で苦しめられた。後に戦死者を粗末にした家と罵られてしまうことになった。
一方、男はかつての敵国に移住し娘と夫婦になった。実は相思相愛の関係だったが、家と家との関係のために別れていたのだ。でも、男は死んだ事になることで、全てのしがらみから解放されたので、結ばれることになった。そのあと、ずっと幸せに暮らせたという。
一時的に抑留され祖国への帰還を許されたのは終戦後1年が経過していた。故郷に戻るのは5年ぶりであったが、気がかりな事があった。過去三年間音信不通にしていたことだ。部隊が行方不明とされていたうえに郵便事情が悪く妻へ安否確認していなかった。一応政府が連絡しているということであるが、混乱がひどいと聞いていた。その心配は不幸にも的中してしまった。
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故郷の町は戦線から遠く離れていたので出て行ったままであった。ただ、人の姿は様変わりしていた。戦争の影響で貧窮しているようだった。そうみていると駆け寄ってくるものがいた。
「お前! 生きていたのか?」
それは近所の老人だった。随分老けていたが、男を見る目が怯えているのに気づいた。
「ああ、軍部の上層部に死んだ事にされたが、生きて帰れた!」
「そうなのか・・・気を悪くしないでくれ。お前が戦死したというので、お前の妻は再婚しているぞ!」
その言葉に男は驚くしかなかった・・・・
※※※※
妻とは家同士の約束で結婚した。本当は婚礼のあとに夫婦の契りをしなければならないところであったが、急な動員令のため形だけの婚礼をした直後に行ってしまった。だから白い結婚だった。それでも、気にしていたのだが形式的な関係なので情を持てなかった。それでも、生きて帰れたら償っていくことを心の支えにしていたのであったが・・・
自分の墓を確認して妻が待っているはずのない実家に戻った。すると、そこには弟が驚いた顔をしていた。
「あ、兄貴、生きていたのか?」
「ああ、こうしてな!」
「すまない・・・ちょっと来てくれないか」
弟に誘われ実家の裏山に行った。すると弟が丸太で殴ってきた。でも、そんな攻撃は男からすれば戦場では生ぬるいものなので、即座に排除し弟を拘束した。
「なにするんだ!」
「し、死んでいたままでいてほしかったんだ・・・まさか生きて帰れないから、そう思って・・・」
「なんでそんなことをいう!」
「あ、兄貴の・・・嫁と結婚したから・・・都合がわるいんだよ、生きていたら!」
男の妻は弟に寝取られていたようであった!
男は長男なので一家の主になるはずだった。だから家同士の約束で妻を娶ったはずだった。でも、戦争が全てを狂わしたのであった。戦死したということになり、弟が次期当主になり兄嫁を娶ることになった。それで全てが丸く収まっていたはずだ。
「本当に帰ってくるとは」
弟の説明に男は仕方ないと思っていた。実際、部隊の中にそんな話があったからだ。しかし、弟は罪を自白した。
「兄貴にはすまないが・・・政府から生存しているという郵便を受け取ったんだ。嫁と結婚する直前に。でも、別れたくないから握りつぶしたんだ。それに、本当に生きて帰れないかもしれないような気がしたし・・・」
弟は本当に寝取っていた! それを聞いて男は怒りが込み上げてきた。逆に弟を殺したいと。でも、次の言葉で躊躇した。妻のお腹に子供が宿っていると! 幸せを奪わないでほしいと!
「勝手だな! 俺が戻れたというのに全て奪っていたなんて!」
弟に全てを奪われていたのだ。悪意を持って! でも、これから弟から奪い返すのは難しい事もわかった。
「わかった、これから消えよう! そのかわり、最後に実家に戻りたい。お前の妻が不在の時に!」
男は全てを捨てる気になった。その前に、自分が暮らしていた家を見てからと。三日後、弟が妻を実家に行かした際にこっそり尋ねることになった。
※※※※
男は実家に戻り、母に最後の挨拶をいって自分の部屋から少しばかりの物を持ち出した。死んだ事にされた人間なので消えるしかなかった。男は故郷を後にしようとしたとき、一人の娘が駆け寄ってきた。それは、家で働いていた娘だった。彼女は男と一緒に行くと、そして夫婦になりたいと。
※※※※
男は戦死した。そうしていたが少なくない者が男が戻っていたことに気付いていた。それは噂となっていた。そのため、あることない事尾ひれがついたうわさ話になっていた。その噂話に弟夫婦は打ちのめされてしまった。そのため、終生兄に関する噂で苦しめられた。後に戦死者を粗末にした家と罵られてしまうことになった。
一方、男はかつての敵国に移住し娘と夫婦になった。実は相思相愛の関係だったが、家と家との関係のために別れていたのだ。でも、男は死んだ事になることで、全てのしがらみから解放されたので、結ばれることになった。そのあと、ずっと幸せに暮らせたという。
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