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宮廷パーティーにて

人形化(3)

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 それにしても、お月のものなんでなんてはじらいデリカシーのない事をいうのだろう、処女なんですよわたしはと文句言いたかった。まあ、結局橘花宮家にいる間はずっと操を通していくてしまったのだから・・・それはともかく、それはある意味重要だった。あの人形の啓子だ! そのあたりの話はあとで問題になった。

 人形の啓子と同じ姿になったわたしは、姿見の前に立って自分の身体の美しさにウットリしてしまった。元々うぬぼれナルシストていないけど、自分の今までの姿と違い過ぎた。

 いままでの啓子は平凡な極端に容姿が悪いわけではないけど、当時の標準的な少女だったと思う。顔にそばかすもあるし髪の毛は少しパサパサで、そんなに印象に残らなかった。でも人形の啓子は人形としては最高の美しさだった。本当ならそのままずっと見ておきたかったけど、胸があんまりにも豊潤なのに気付いて服を着る事にした。

 気が付くとチヅルとナズサの二人の人形が仰々しい衣装箱を持ってきていた。その中身は宮廷行事に出席する伯爵夫人のドレスだった。それは橘花宮の歴代女主人が身につける高価なものであった。そんな由来があって美しいモノを着れるなんて嬉しくなったけど、考えてみたらそれが本来なのよね。そのとき、あることに気付いた。

 人形の啓子はなぜわたしを影武者にしたのかということだ。それまでも人形の姿で宮中に行った事があるにどうしてなの? それでわたしはチズルに訊いてみた。殿下は大丈夫なのかと。
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