妖精の人形といた最期の一週間のあとは

回想

　クリスマスのイルミネーションを見ると思い出すのは、彼の為に人形になった事。

　正確に言えば、人形の振りをしたことだ。彼の好きだったキャラクターに扮したことだ。

　それで満足させることが出来ると思っていたけど、本当はどうだったのだろう？　でも答えを聞くことは出来ない。

　答えを聞く前に永遠にその機会を逸してしまったから。

　もし、答えを聞くことが出来るとしたら、それはいつの事だろう？　もしかすると数十年先かもしれないし、すぐかもしれない。でも、知ることはないかもしれない。もしかすると天国なんて存在しなかったら・・・

　でも、いつか知ることが出来るのを信じている。いつか再会することを願っているから。いまはそれを信じて生きているから。その日が来るまでにいろいろと生きていきたいから。

　彼が望んだのは、幼い時に見たアニメのキャラクターだった。その夢を叶えようとしたけど・・・もしかして、それは私の事なの？　でも、彼はもういない・・・