【完結】生物兵器と合体した彼女

ジャン・幸田

文字の大きさ
22 / 43
(4)門田

壊れ始めた

しおりを挟む
 それにしても纐纈の本当の目的はなんだ? 生物兵器同士をかけ合わせてなにを・・・そんなことなどお構いなくカマキリ女と怪人との交わりは激しくなるばかりだった。激しくなるにつれて俺はカマキリ女の身体を痛めつけ始めていた。カマキリ女の外骨格はヒビが入り体液が噴き出すようになった。

 「うーうーうー!!」

 カマキリ女はうめき声とも喘ぎ声とも付かぬ恐ろしい”声”を発していた。対する俺も皮膚が破れ体液が吹き上げるようになっていた。この二匹の絶頂の先にある物を想像すると、それは破滅しかなさそうだった。

 「うがーうがー!」

 俺もケモノのようになっていた。カマキリ女と情愛を交わす度に人間性を失っていくのを感じていた。この行為が絶頂に達し終われば、全てが終わってしまいそうだった。だが、止める事が出来ず永遠ともいえる快楽的で地獄的な情事は続いていた。この時、カマキリ女が俺の身体に喰いついてきた!

 「がぼ! がぼ! がぼ!」

 「があ! ぼお! ぐお!」

 そうカマキリ女は俺を滋養の素にするため摂取しはじめたのだ、兵器として生まれる新人類のための! 激痛が走っているはずなのに俺はある場面を思い出した。それはカマキリが交尾中にメスがオスの頭を貪っている最中もオスは行為を止めなかったのを。そう、オスは自分の子孫の礎となるべく栄養素になったわけだ。だから尊い犠牲なのかと・・・

 そのとき俺は怒りが快楽の感情に勝ったのに気付いた。こんな事をしていたら、そこの悪魔のような纐纈そして張本人を喜ばせる事に気付いたからだ。

 「ほう、俺の持ち込んだ生物兵器製造アンプルはどうだ? なんとか適合したカップルが死んでも受精卵が出来れば、大量生産が可能になるからな」

 「ふん! さんざん収容所あたりで実験したんだろ? せっかく完成したサンプルをもう一度作ってみてから売り込むなんて本当の悪魔だな、お前は!」

 「その悪魔から買い取ったのも悪魔だろ! そうそう俺を始末したらアンプルの製造方法の謎がわからなくなるから、せいぜい養ってくれ!」

 纐纈と話していた男、そいつが静香をカマキリ女にした張本人に違いなかった。俺は思わずカマキリ女の腕を引きちぎり、そいつらが覗き見ている窓ガラスに投げつけた。その窓ガラスは防弾仕様のためびくともしなかったが、カマキリ女の腕は粉々になりその下で残骸を晒していた。俺の暴走が始まろうとしていた!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

復讐のための五つの方法

炭田おと
恋愛
 皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。  それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。  グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。  72話で完結です。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

裏切りの代償

中岡 始
キャラ文芸
かつて夫と共に立ち上げたベンチャー企業「ネクサスラボ」。奏は結婚を機に経営の第一線を退き、専業主婦として家庭を支えてきた。しかし、平穏だった生活は夫・尚紀の裏切りによって一変する。彼の部下であり不倫相手の優美が、会社を混乱に陥れつつあったのだ。 尚紀の冷たい態度と優美の挑発に苦しむ中、奏は再び経営者としての力を取り戻す決意をする。裏切りの証拠を集め、かつての仲間や信頼できる協力者たちと連携しながら、会社を立て直すための計画を進める奏。だが、それは尚紀と優美の野望を徹底的に打ち砕く覚悟でもあった。 取締役会での対決、揺れる社内外の信頼、そして壊れた夫婦の絆の果てに待つのは――。 自分の誇りと未来を取り戻すため、すべてを賭けて挑む奏の闘い。復讐の果てに見える新たな希望と、繊細な人間ドラマが交錯する物語がここに。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

妻への最後の手紙

中七七三
ライト文芸
生きることに疲れた夫が妻へ送った最後の手紙の話。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

処理中です...