【完結】生物兵器と合体した彼女

ジャン・幸田

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(1)静香

静香はどこだ

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 俺は門田勇作、失踪した静香と俺は近所の幼馴染でクラスメイトだ。ただそれだけの関係だった。あの日、下校する彼女の姿を見たので、警察で何度も尋問されたが、俺はその日は親に迎えに来てもらったので、それ以上の事は知らなかった。あの晩、あの細い路を通ったのは彼女が最後だった。あの日以来、その細い路は「安全が確認されるまで」通行禁止になった。

 それにしても、いつも見ていた彼女が失踪して姿を見ることが出来なくなって俺は物足りなくなってしまった。別に気に留めていたわけではないが、いつも見ていた女がいないというのは違和感しかなかった。

 あの日から学校では静香の話題でもちきりだった。ここは田舎の高校で全校生徒も百人ちょっとしかいないところだ。生徒同士名前は把握していたぐらいだ。それに静香は割と人気があって目立つ女子生徒だったから、全校生徒が彼女の安否を気にしていた。

 静香の行方を捜すために学校も警察も懸命だった。そのせいで彼女の失踪時の状況が漏れ出ていた。はっきりしたことは分からなかったが、失踪した時に制服を脱がされていた事はみんな知っていた。だから変質者にでも拉致されたといわれていた。そして、そのあとUMAの目撃証言が続出しはじめたから、噂の輪は広がるばかりだったが、真実は一向に解明されなかった。

 「おい門田、お前の彼女行方不明なんだってなあ? 心配じゃないのかよ?」

 クラスメイトの諸橋が寄って来た。こいつは俺が静香を彼女扱いしていると邪推していた奴だった。だから、そう言う事を言ってきやがった。

 「だから、あいつは彼女じゃない。ただの幼馴染だ。でも心配なんだ正直なところ」

 失踪から一週間、学校の誰もが静香の失踪の状況を把握していた。直前まで普通に歩いていた女子高生なのに悲鳴と共に消失したのだ、着ていたはずの制服を残して。その制服は俺らが通っていた高校のセーラー服で「竹内静香」の名札までついていた。

 そのうえ持っていたスマホも財布も家の鍵も全てその場で発見された。しかも下着までも・・・要は静香の身体だけが消えてしまったのだ。そのため、科学的根拠もないのに、「某国のプラズマ兵器の犠牲になった」とか「新型の拉致工作」であるといった事を主張する者もいたほどだった。そんなのオカルトだといって無視されたが。

 「それにしても静香は裸で連れさらわれたんだろ? そしたら誰か目撃されていてもおかしくないだろうに!」

 「門田、そんなに心配なら今夜探しに行かないかよ、竹内静香を! 」

 そういうことで、俺は静香が消失した時間に、立ち入り禁止になっている現場に行ってみることにした。
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