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(閑話)真由美の放課後
全身拘束刑にされた愛莉の今の姿は?
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さすがにまずい事態にはならないと真由美は信じ込むことにした。いくら不人気でもうすぐ退陣(一応は総選挙で新たな国会議員団が新首相を指名するまでとされている)濃厚な首相でも、それぐらい安全を確保してくれるだろうといえたはずだからだ。
でも違う疑問、本当はそっちの方が真由美にとって重要かつ知りたいことであった。愛莉お姉ちゃんはどうなっているのよ! 全身拘束刑でロボットみたいになったなんて!
「杠さん、お姉ちゃん・・・いや愛莉さんは全身拘束刑に処されたとおっしゃっていられましたが、彼女はどんな姿をしているのでしょうか?」
真由美はいろんなことを想像していた。父がCEOをしている会社は人体を機械のようにしてしまう事業をしていて、いろんな改造技術によって生み出されたタイプがあるのを知っていた。外見は人間と変わらないものから、特殊素材の外骨格で覆われたロボットまであることを。そして全身拘束刑でもピンからキリまであるのも知っていた。すると杠は安養寺CEOと何かの確認を目でやってから言いにくそうな表情を浮かべながらいった。
「真由美さん、ショックを受けるかもしれないってことを承知のうえで聞いてくれるかい?」
杠の言い出しでなんとなく最悪な方向性の話なんだと分かった。
「いいですわ。だって、再会できたら分かる事なんですよね? 言ってくれた方がいいですわ」
真由美は最悪の状態なんだと覚悟した。本当に元の愛莉に戻れる状態だといいなあと思いながら。
「それじゃあ、話が複雑になるから要点だけな。愛莉さんは全身拘束刑によって誤った指示によって死刑囚並みの改造手術を受けたのだ。全身に外骨格スーツを纏わせ、軟組織の大部分は人造生体組織に置換され、脳は電脳化されてな。生身で残っているのは脳幹や神経組織と生殖器官と一部骨組織だけだ」
杠の言葉の意味は真由美は理解できた。そんな風に改造されたら人間であったことも分からなくなる状態だと。真由美の瞳は濡れていた。
「つまり・・・お姉ちゃんは・・・ガイノイドタイプの改造人間だと?」
真由美の声は震えていた。
「そうだ! 今どこにいるのかは言えないが、そういうことだ」
杠は真由美の表情の変化を気にかけながらいった。すると、真由美は思わぬ行動をとった。自分のダミーの左の義足を持ち上げたのだ。
「お姉ちゃんは、つまり・・・機械の身体になったというの? なんでそんな目に遭わないといけないのよ!」
そういって真由美は自分の義足を床にたたきつけて八つ当たりし始めた。どうやら彼女は怒りの捌け口として義足を選んだようだ。すると父が近寄ってきて真由美から義足を取り上げた。
「真由美! 感情を露わにするなといっているだろ! 気持ちはわかるが、それが現実なんだ! その現実を受け入れてこそ、何らかの対応が取れるだろ!」
そう言われた真由美は泣き崩れてしまった。強気でわがままな彼女がそのようにするのは大変珍しい事であった。
「なんでなのよ! なんでお姉ちゃんがロボットにされなきゃいけないのよ! 杠さん! 教えてよ!」
真由美は自分のドレスの裾で顔をうずめていた。裾からは残されたダミーの右足の義足が外れ、切断面を隠している袋が見えていた。
でも違う疑問、本当はそっちの方が真由美にとって重要かつ知りたいことであった。愛莉お姉ちゃんはどうなっているのよ! 全身拘束刑でロボットみたいになったなんて!
「杠さん、お姉ちゃん・・・いや愛莉さんは全身拘束刑に処されたとおっしゃっていられましたが、彼女はどんな姿をしているのでしょうか?」
真由美はいろんなことを想像していた。父がCEOをしている会社は人体を機械のようにしてしまう事業をしていて、いろんな改造技術によって生み出されたタイプがあるのを知っていた。外見は人間と変わらないものから、特殊素材の外骨格で覆われたロボットまであることを。そして全身拘束刑でもピンからキリまであるのも知っていた。すると杠は安養寺CEOと何かの確認を目でやってから言いにくそうな表情を浮かべながらいった。
「真由美さん、ショックを受けるかもしれないってことを承知のうえで聞いてくれるかい?」
杠の言い出しでなんとなく最悪な方向性の話なんだと分かった。
「いいですわ。だって、再会できたら分かる事なんですよね? 言ってくれた方がいいですわ」
真由美は最悪の状態なんだと覚悟した。本当に元の愛莉に戻れる状態だといいなあと思いながら。
「それじゃあ、話が複雑になるから要点だけな。愛莉さんは全身拘束刑によって誤った指示によって死刑囚並みの改造手術を受けたのだ。全身に外骨格スーツを纏わせ、軟組織の大部分は人造生体組織に置換され、脳は電脳化されてな。生身で残っているのは脳幹や神経組織と生殖器官と一部骨組織だけだ」
杠の言葉の意味は真由美は理解できた。そんな風に改造されたら人間であったことも分からなくなる状態だと。真由美の瞳は濡れていた。
「つまり・・・お姉ちゃんは・・・ガイノイドタイプの改造人間だと?」
真由美の声は震えていた。
「そうだ! 今どこにいるのかは言えないが、そういうことだ」
杠は真由美の表情の変化を気にかけながらいった。すると、真由美は思わぬ行動をとった。自分のダミーの左の義足を持ち上げたのだ。
「お姉ちゃんは、つまり・・・機械の身体になったというの? なんでそんな目に遭わないといけないのよ!」
そういって真由美は自分の義足を床にたたきつけて八つ当たりし始めた。どうやら彼女は怒りの捌け口として義足を選んだようだ。すると父が近寄ってきて真由美から義足を取り上げた。
「真由美! 感情を露わにするなといっているだろ! 気持ちはわかるが、それが現実なんだ! その現実を受け入れてこそ、何らかの対応が取れるだろ!」
そう言われた真由美は泣き崩れてしまった。強気でわがままな彼女がそのようにするのは大変珍しい事であった。
「なんでなのよ! なんでお姉ちゃんがロボットにされなきゃいけないのよ! 杠さん! 教えてよ!」
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