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迷宮魔道な場所へ
82・エリーがどんな能力が知りたくない?
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全身拘束刑は刑務所の代替措置として導入された制度だ。それは麗華民主共和国による世界同時サイバーテロ、そう人類史上最悪の経済的損失によって世界恐慌が起きた際、大量に流入してきた難民による犯罪や、それに対するヘイトクライムによる凶悪犯罪によって刑務所に収容しきれない受刑者が発生した際、当時の杠司法長官が導入したものであった。
それは本来なら受刑者になるはずの者に、行動を監視する装置を埋め込んで、実社会で半ば強制労働刑に処すという刑であった。刑務所に収監しないかわりに懲役刑となる職場に送り込んでいた。それにより世界恐慌からの復興需要にともなう労働力不足を補う事ができた。また、行動を監視する装置を応用して、この国に大量に流入した外国人労働者のスキルアップにも役立つという副産物もあったという。
そうした装置による監視でも全身の改造をともなう場合があった。それが愛莉が受けた最高レベルの全身拘束刑であった。本来は快楽的殺人犯など犯罪傾向が進行し最早矯正不可能な凶悪犯を、電脳化したりサイボーグ化するなど機械に改造し奴隷にするものであった。だから愛莉のような改造を受けるのは司法長官や検事局総長など数多くの役職者の裁可を受けないと出来ない、かつての死刑と同じぐらいハードルが高いはずだった。しかし、全ての関係者はエキゾチック・ブレイン復活を進めている謎の組織の配下の者であるのは間違いなかった。
全身拘束刑で誕生したガイノイドだとバレてしまった! 愛莉は警戒した。もっとも自分を陥れた者たちが巣食う場所にいるのだからリスクはあったので仕方ない事であった。本当ならその場から逃げ出したかったが、真由美がいるし、そもそも今の自分は人類に奉仕する機械、出来るはずもなかった。
「安養寺さん。このエリーって機体は見た目は量産品のガイノイドだけど、内部はカスタマーされたフルオーダーメイドのようだわ。あなたエリーがどんな能力が知りたくない?」
タオ先輩は妖しい雰囲気でエリーの機体を撫でまわすようにさわりながら言っていた。そのときエリーの外骨格のセンサーは異常な数値を検出していた。それは先ほどのグレイ教授の探査ビームに匹敵するぐらいの値だった。このままでは電脳の素性もバレそうであったが、愛莉の自我をシャットダウンするのは手遅れだった。もしかすると、どこかのブースに連れ込みたいような言い草であった。
その時、愛莉はあることに気付いた。タオ先輩は生身の人間であるのになぜ探査ビームが放出されるのかである。探査ビームはある程度の出力のある装置を携帯するものなので、それなりの大きさの機器があるはずだった。しかし彼女がそのような装置を下げている形跡はなかった。さきほど電子IDをスキャンした装置に組み込まれているはずではなかった。すると、タオ先輩も一種の改造人間? そんな予想が出来た。
「それは必要ないわよ。いまのエリーは介助してくれるガイノイドよ。そこまで詮索する必要はないわよ。それよりも、用事は済んだの? 他の人たちからはぐれたじゃないのよ! 問題ないのなら早く先に行かしてもらえない?」
真由美は少し不機嫌そうだった。どうやらタオ先輩に不信感を抱いていたようだ。それで仕方なく彼女は解放した。結局、見学ツワーとは大きくはぐれてしまった。一応渡された説明用のタブレットにはどうやって行けばいいのかという説明が表示されていたが、すぐに追いつけない距離になっていた。
「なんだったんだろうねエリー! あの女は! 人をまるで勝手にやってきたような侵入者みたいな目で見てね! そう思わない?」
真由美は本当にタオ先輩の事が嫌なようだった。彼女の目的はエリーの機体確認だったのは間違いないのだが、たぶんエリーはアイリと同型の人体拘束刑受刑者改造のガイノイド、しかも超高性能型だと確認しているはずだった。もし、相手が強硬で真由美が一緒にいなければ、その場で強制収容されていたのかもしれない。同じ大学がリースしているのだから、後でなんとでも出来るからだ。
「そうですわね。でも仕方ありませんわ。彼女らも上の指示でもあったのだと思いますわ」
エリーはそう答えたが、愛莉ははやく正直に自分の正体を明かしたかった。いつ何時拘束されかねない場所で行動しなくてもいいように。でも、いまはタダのガイノイドの振りをするしかなかった。この巣窟では。
それは本来なら受刑者になるはずの者に、行動を監視する装置を埋め込んで、実社会で半ば強制労働刑に処すという刑であった。刑務所に収監しないかわりに懲役刑となる職場に送り込んでいた。それにより世界恐慌からの復興需要にともなう労働力不足を補う事ができた。また、行動を監視する装置を応用して、この国に大量に流入した外国人労働者のスキルアップにも役立つという副産物もあったという。
そうした装置による監視でも全身の改造をともなう場合があった。それが愛莉が受けた最高レベルの全身拘束刑であった。本来は快楽的殺人犯など犯罪傾向が進行し最早矯正不可能な凶悪犯を、電脳化したりサイボーグ化するなど機械に改造し奴隷にするものであった。だから愛莉のような改造を受けるのは司法長官や検事局総長など数多くの役職者の裁可を受けないと出来ない、かつての死刑と同じぐらいハードルが高いはずだった。しかし、全ての関係者はエキゾチック・ブレイン復活を進めている謎の組織の配下の者であるのは間違いなかった。
全身拘束刑で誕生したガイノイドだとバレてしまった! 愛莉は警戒した。もっとも自分を陥れた者たちが巣食う場所にいるのだからリスクはあったので仕方ない事であった。本当ならその場から逃げ出したかったが、真由美がいるし、そもそも今の自分は人類に奉仕する機械、出来るはずもなかった。
「安養寺さん。このエリーって機体は見た目は量産品のガイノイドだけど、内部はカスタマーされたフルオーダーメイドのようだわ。あなたエリーがどんな能力が知りたくない?」
タオ先輩は妖しい雰囲気でエリーの機体を撫でまわすようにさわりながら言っていた。そのときエリーの外骨格のセンサーは異常な数値を検出していた。それは先ほどのグレイ教授の探査ビームに匹敵するぐらいの値だった。このままでは電脳の素性もバレそうであったが、愛莉の自我をシャットダウンするのは手遅れだった。もしかすると、どこかのブースに連れ込みたいような言い草であった。
その時、愛莉はあることに気付いた。タオ先輩は生身の人間であるのになぜ探査ビームが放出されるのかである。探査ビームはある程度の出力のある装置を携帯するものなので、それなりの大きさの機器があるはずだった。しかし彼女がそのような装置を下げている形跡はなかった。さきほど電子IDをスキャンした装置に組み込まれているはずではなかった。すると、タオ先輩も一種の改造人間? そんな予想が出来た。
「それは必要ないわよ。いまのエリーは介助してくれるガイノイドよ。そこまで詮索する必要はないわよ。それよりも、用事は済んだの? 他の人たちからはぐれたじゃないのよ! 問題ないのなら早く先に行かしてもらえない?」
真由美は少し不機嫌そうだった。どうやらタオ先輩に不信感を抱いていたようだ。それで仕方なく彼女は解放した。結局、見学ツワーとは大きくはぐれてしまった。一応渡された説明用のタブレットにはどうやって行けばいいのかという説明が表示されていたが、すぐに追いつけない距離になっていた。
「なんだったんだろうねエリー! あの女は! 人をまるで勝手にやってきたような侵入者みたいな目で見てね! そう思わない?」
真由美は本当にタオ先輩の事が嫌なようだった。彼女の目的はエリーの機体確認だったのは間違いないのだが、たぶんエリーはアイリと同型の人体拘束刑受刑者改造のガイノイド、しかも超高性能型だと確認しているはずだった。もし、相手が強硬で真由美が一緒にいなければ、その場で強制収容されていたのかもしれない。同じ大学がリースしているのだから、後でなんとでも出来るからだ。
「そうですわね。でも仕方ありませんわ。彼女らも上の指示でもあったのだと思いますわ」
エリーはそう答えたが、愛莉ははやく正直に自分の正体を明かしたかった。いつ何時拘束されかねない場所で行動しなくてもいいように。でも、いまはタダのガイノイドの振りをするしかなかった。この巣窟では。
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