冤罪! 全身拘束刑に処せられた女

ジャン・幸田

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迷宮魔道な場所へ

103・ガイノイド・アイリ(10)

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 愛莉はこんなことなんだろうと想像はしていた。わざわざダミーのアイリのボディを製造するのだから危険な事をさせるのだと。でも、やっぱり言われるとショッはないといえない。分かっていても、ハイ分かりましたなんて軽々しくは言えなかった。いくら身体が機械にされても電脳だけを取り出して部品として接続される運命だったと知らされて平気でいられるはずはなかった。まあ、淳司のクライアントやらがアクションを起こしていなかったら、本当にそうなっていたんであるけど。

 「やっぱり、そうなのね! でも、なんでわざわざ連中にさせるのよ、そんなことを! いくら私を冤罪で全身拘束刑でこんな機械に出来る連中といっても、なんか方法はなかったのよ!」

 そういって愛梨は淳司の肩を前後に揺らした。ここは仮想空間であってもその感覚はリアルだった。

 「まて、まてー! 愛莉ちゃん! だから言っただろ? 新たな名前と身体を作ってからさ、どこか別の国にいってもいいって! その時は、ダミーのボディに君の改造体を流用しようと思ったんだよ!」

 愛莉は気づいた。そういえばそんなことを言っていたことを。その時は多分、セクサロイド、女の子には恥ずかしいけど、そのような人間に近いガイノイドに電脳や生殖器などを移植するつもりだったのだと。

 「そうなんだ! 淳司のクライアントって私の身体を道具にしか思っていなかったわけなのよ?」

 「しかたないだろう、君は全身拘束刑受刑者なんだから。君の身体は国家所有の機械奴隷なんだからね。そのようにしか扱えないからしょうがないだろう。それよりも落ち着いて! 落ち着いて! あんまり首を振られるとバグが生じかねないんだよ! だからな!」

 そういって、淳司はアイリの手を振り払った。その力はガイノイドよりも強かった。

 「わかったわよ、淳司。どうせ私は囚人、機械奴隷の女よ! 取りあえず用が終わったらこの身体を元に戻してもらえない? せめて仮想空間の中でも元の愛莉に戻してくれない」

 愛莉がそう要望すると、一瞬で元の学生服姿の愛莉に戻った。愛莉は少し安心したような表情をしていた。その表情を淳司はじっとみていた。
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