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第伍章:神殿にて
130.凸凹道
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野宿と変わらない山小屋で一夜を明かし、粗末な朝食をいただいた一行はすぐさま出発し、宿坊をと拝殿をあっという間に通り過ぎた。このティアム山の拝殿はこじんまりとしていており、門前町として繁栄しているような雰囲気はなかったが、立ち寄りたくなるような雰囲気があった。
「なんか良い香りがしたのに。どんなのか覗いてみたかったのに」
ルンファは不満そうな声で言ったが、アサミに仕方ないよと言われていた。
「ルンファさん、此処には魔導士の研修できているのよ。遊びに来てわけじゃないのよ。それに決められた期日までに神殿に到着しなければいけないのよ」
「それは、わかっているよ。それにしてもいつまで山を登らなければいけないのよ」
「そうだなあ・・・まだ半分も来ていないから、昨日と同じぐらいかかるかもしれない。それに神殿に日没までにたどり着かなければ・・・野宿になるぞ。そうそう神殿付近は空気も薄いし寒いから、早く着きたいよな」
ファラビーはそういってはいたが、体調が悪そうだった。それに登山道も拝殿を通り過ぎると格段に悪くなってしまい、道といっても岩がゴロゴロして岩盤が凸凹していて、しかも細いという悪路になってしまった。しかも尾根つたいの道が続くので、左右どちらかに足を踏み抜いたら・・・奈落の底に落ちていくだけという状況だった。
そんな登山道なので、最も大変なのが先頭を行くファラビーだった。一応班長を任じられていたので仕方なかったが、相当不安定な足取りだった。それで他のメンバーは不安でしかたなかった。そんなとき、タクヤが言い出したのは昔の思い出だった。
「むかし、大学時代に谷川岳にいった事があったんだ。俺はなにも知らずに行ったんだけど、本当にひどい目にあってしまった。もし、事前に知っていたら行かなかったと後悔したほどだ。だから、あの時以来、低い山にも登ったことがなかったんだけど」
「そうなんだ。ではタクヤ。その時よりもキツイというの?」
「そりゃ・・・こっちのほうが大変だ! でも、あの時よりも今の方がつらくないよな。こうしてアサミもルンファもファラビーさんもいるから」
そうタクヤは言っていたが、ファラビーよりはいくらかはマシだったが、体調が悪そうだった。どうも高山病になりかかっているようだった。もっともそれは四人に共通することであったが。だから四人の足取りは鈍く足取りは遅かった。
「はやく、到着しないとまた野宿になるよ、そんなのいやよ」
「ああ、でも大丈夫だ。あれが目的地ではないのかな」
一行のはるか向こうに夕陽に染まる石造りの屋根がようやく見えてきた。
「なんか良い香りがしたのに。どんなのか覗いてみたかったのに」
ルンファは不満そうな声で言ったが、アサミに仕方ないよと言われていた。
「ルンファさん、此処には魔導士の研修できているのよ。遊びに来てわけじゃないのよ。それに決められた期日までに神殿に到着しなければいけないのよ」
「それは、わかっているよ。それにしてもいつまで山を登らなければいけないのよ」
「そうだなあ・・・まだ半分も来ていないから、昨日と同じぐらいかかるかもしれない。それに神殿に日没までにたどり着かなければ・・・野宿になるぞ。そうそう神殿付近は空気も薄いし寒いから、早く着きたいよな」
ファラビーはそういってはいたが、体調が悪そうだった。それに登山道も拝殿を通り過ぎると格段に悪くなってしまい、道といっても岩がゴロゴロして岩盤が凸凹していて、しかも細いという悪路になってしまった。しかも尾根つたいの道が続くので、左右どちらかに足を踏み抜いたら・・・奈落の底に落ちていくだけという状況だった。
そんな登山道なので、最も大変なのが先頭を行くファラビーだった。一応班長を任じられていたので仕方なかったが、相当不安定な足取りだった。それで他のメンバーは不安でしかたなかった。そんなとき、タクヤが言い出したのは昔の思い出だった。
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「そりゃ・・・こっちのほうが大変だ! でも、あの時よりも今の方がつらくないよな。こうしてアサミもルンファもファラビーさんもいるから」
そうタクヤは言っていたが、ファラビーよりはいくらかはマシだったが、体調が悪そうだった。どうも高山病になりかかっているようだった。もっともそれは四人に共通することであったが。だから四人の足取りは鈍く足取りは遅かった。
「はやく、到着しないとまた野宿になるよ、そんなのいやよ」
「ああ、でも大丈夫だ。あれが目的地ではないのかな」
一行のはるか向こうに夕陽に染まる石造りの屋根がようやく見えてきた。
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