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第伍章:神殿にて
141.夢幻
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「すまない、アサミとやら。思わずわしはやってしまったが・・・君の魂の記憶を探ろうとしたんだが。なんてことなんだ。その悲しい想いと・・・殺戮の行為は」
「それってそういうことなんだよ、おっさん!」
ギウムの言葉にタクヤが怒鳴っていた。アサミの目には涙がなぜか浮かんでいた。そして、こうつぶやいた。
「なんでだろう、なんで悲しいのだろう。それに、この罪悪感は・・・」
泣き始めたアサミにギウムはそっと手を当て、何かを念じ始めた。するとアサミはそのまま気を失ってしまった。そしてギウムはタクヤとファビーにそばの長椅子に寝かせるようにと言って、座り込んでしまった。
「神官、アサミに何があったというのですか? あたいにもわかるように説明してください」
ルンファはアサミの身体をさすっていたが、なぜかその身体はものすごく熱くなっていた。しかも顔は悪夢にうなされているようだった。
「そのアサミの前世は・・・天空より墜落し四散し、その前は極限の太陽の如き光の中で消滅し、さらにその前は嵐の太洋に飲み込まれたりと、ことごとく恐ろしき最期を迎えている。
そういった悲劇的な魂の記憶は、誰にでもあり得るのであるが、わたしが魂に触れようとしたときに見てしまったのだ・・・彼女の原罪を!」
「なんだ、その原罪とは?」
そこまで言ったところでギウムはそれは言ってはならぬことであることに気付いた。もしそれを今のアサミにいうと、彼女の心身が崩壊してしまう事に!
「それは、言ってはならないと、この世界の創造主からのお達しがあるから、いう事はできない。しかし一つだけ言うと、彼女のその魂は聖なるものにも悪しきものにも、そのどちらにもなれるし・・・
だから、周囲の者が聖なるものに彼女を昇華さねなければならない、特にそこにいるタクヤとやら! 頼むぞ!」
そういってギウムはタクヤの手をアサミの手に合わせ、自らは何かを祈り始めた。それは、まるで何かを封印しようとしているような呪文を口にしていた。
気を失っている間、アサミは変な気分だった。なぜか自分を身体の上から見ているような感覚がしたのだ。それって幽体離脱? そんな風に考えてしまった、なんでこんなことになったのだろうかと。
「そうだギウムさんに、わたしの魂の前世の記憶に悲しい想いと殺戮の行為があると言われたんだ。それでショックを受けたんだ。それにしても悲しい想いというのは非業の最期を遂げた永川亜佐美のことだろうけど、殺戮の記憶ってなんだろう。それにしてもなんでこうなったのだろう」
その時、アサミは夢の中にでもいるかのようだった。なんか宙ぶらりんに感じたからだ。そのとき、ある光景がフラッシュバックのように思い出した。それは恐ろしい形相をした少女だった。しかも顔つきがアサミ本人に似ていたのだ。
「それってそういうことなんだよ、おっさん!」
ギウムの言葉にタクヤが怒鳴っていた。アサミの目には涙がなぜか浮かんでいた。そして、こうつぶやいた。
「なんでだろう、なんで悲しいのだろう。それに、この罪悪感は・・・」
泣き始めたアサミにギウムはそっと手を当て、何かを念じ始めた。するとアサミはそのまま気を失ってしまった。そしてギウムはタクヤとファビーにそばの長椅子に寝かせるようにと言って、座り込んでしまった。
「神官、アサミに何があったというのですか? あたいにもわかるように説明してください」
ルンファはアサミの身体をさすっていたが、なぜかその身体はものすごく熱くなっていた。しかも顔は悪夢にうなされているようだった。
「そのアサミの前世は・・・天空より墜落し四散し、その前は極限の太陽の如き光の中で消滅し、さらにその前は嵐の太洋に飲み込まれたりと、ことごとく恐ろしき最期を迎えている。
そういった悲劇的な魂の記憶は、誰にでもあり得るのであるが、わたしが魂に触れようとしたときに見てしまったのだ・・・彼女の原罪を!」
「なんだ、その原罪とは?」
そこまで言ったところでギウムはそれは言ってはならぬことであることに気付いた。もしそれを今のアサミにいうと、彼女の心身が崩壊してしまう事に!
「それは、言ってはならないと、この世界の創造主からのお達しがあるから、いう事はできない。しかし一つだけ言うと、彼女のその魂は聖なるものにも悪しきものにも、そのどちらにもなれるし・・・
だから、周囲の者が聖なるものに彼女を昇華さねなければならない、特にそこにいるタクヤとやら! 頼むぞ!」
そういってギウムはタクヤの手をアサミの手に合わせ、自らは何かを祈り始めた。それは、まるで何かを封印しようとしているような呪文を口にしていた。
気を失っている間、アサミは変な気分だった。なぜか自分を身体の上から見ているような感覚がしたのだ。それって幽体離脱? そんな風に考えてしまった、なんでこんなことになったのだろうかと。
「そうだギウムさんに、わたしの魂の前世の記憶に悲しい想いと殺戮の行為があると言われたんだ。それでショックを受けたんだ。それにしても悲しい想いというのは非業の最期を遂げた永川亜佐美のことだろうけど、殺戮の記憶ってなんだろう。それにしてもなんでこうなったのだろう」
その時、アサミは夢の中にでもいるかのようだった。なんか宙ぶらりんに感じたからだ。そのとき、ある光景がフラッシュバックのように思い出した。それは恐ろしい形相をした少女だった。しかも顔つきがアサミ本人に似ていたのだ。
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