元ホームレス・タクヤとネコ耳娘アサミ魔道伝:Re

ジャン・幸田

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第伍章:神殿にて

140.お祓い

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 ファビュー班一行が魔導士ギルドに課せられた研修の課題は、ティアム山の神殿を登山してインヴァラ公国に向かうというものだった。旅程では四日であったがそれでは少しキツイものだった。麓から登ってくるだけで二日もかかったからだ。

  「ギウム神官、これから我々がするのは、お祓いか何かですか?」ファビューは朝食をほうばりながら話していた。これから下山するのもエネルギーを補給しなければということらしかった。

  「ほうじゃな、お祓いはささやかなものだ。まあ君らの将来が良いものになるようにお祈りしてあげるよ、もちらん無料で!」

  「それはありがたい。そういえば以前ここにやってきた時にはギウム神官はおられず、違う方がいられたようだけどどうしたものですか?」

  「ほう、君は来たことがあるんだここに。それっていつのことなんだ?」

  「確か五年ぐらい前かな。その時は確かジャルヴァ神官といわれたな名前は。それともっと人も多かったし」

  「そうか、ジャルヴァか・・・彼なら亡くなってしまった。ある日突然身体が透明化してしまってのう。どうも闇の魔導士の呪詛にやられてしまったようだ」

  「闇の魔導士?」

  「君ら聞いたことがないかな? ある日突然町や村が消滅したことを。あれも奴らの仕業のようだ。どうもジャルヴァは奴らに関する何らかの情報を掴んでいたようなんだ。それが何だったのか結局わからなかったけどな」

  「それで、ここに来られたのですか? そういえばあなたって北の大陸で随一の神官だと言われていた方じゃないですか」

  「ほう、よく覚えていたね。そうじゃ、わしはそういわれていたこともあるな。でも昔の事さ。今はこうして世俗から離れてゆっくりと暮らせるからいいさ。
  そうそう、食事が終わったら君らをお祓いしてあげるさ」

  そういってギウム神官は自ら作った果物の皮をはいでいた。

 朝食が終わり出発までのわずかな時間に一行のお祓いが行われることになった。お祓いといっても祭壇の前に座った一行の前で神官がお祈りを捧げ、話をした後で証明書を渡すという簡単なものだった。

  その時、ギウムはお祓いをしながら一行四人の潜在能力とその背景にあるものを探ろうとしていた。お祓いが最終段階になったとき、突如ギウムがうずくまってしまった。その時、アサミは思わず駆け寄って介助しようとしたが、ギウムはものすごく恐ろしい形相でその手を思わず振り払ってしまった。

  「神官! いったいなんてことをするのですか! せっかく・・・」

  ファビーとタクヤはほぼ同時に叫んでルンファはきょとんとしていた。ギウムのその顔は地獄のような光景を見せられ恐怖におののいていたようだ。その原因は・・・アサミだった。
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