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第伍章:神殿にて
139.朝霧
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朝を迎えた神殿の周りは朝霧に覆われていた。その中でメイファンと男が対峙したままであった。互いに決着がつけれなかったからだ。実力が伯仲していたからだ”筆頭統領の夜食班”のメイファンは、かつて師匠だった男が墜ちた。”闇の魔導士”の黒幕からアサミとタクヤを護るために派遣されていた。だが、相手は複数いるかもしれないから、ここで男を倒しても意味がないかもしれなかった。
「メイファン、わしを倒しても構わないぞ! それなのにそうしないのはワシの他に仲間がいると思っているんだろ?」
男はメイファンが考えていることは分かっているようだった。いまなら師匠を葬る事は出来るかもしれなかった。しかし、自分がここで斃れたら二人を護ることは誰も出来ないのは明らかだった。”筆頭統領の夜食班”は小さな組織で秘密の任務を遂行しているので他のギルドの部門の協力を受けることが出来なかった。
「それよりも、終わりにしない? もうじき、あの御一行さんは下山するはずなんだからさ! 勝負しねえか?」
メイファンは叫んだ。しかしそのとき、霧の濃度が一気に上がってしまい、互いの姿が見えなくなった。すると男はこう言って消えてしまった。
「お前もワシもここで戦っても無意味なのは承知だろ? 良い事教えてやろう! お前の上司の巫女上がりの娘はなあ、秘密の御神託を授かったのであの転移者の男女を特別扱いしているんだが、同じようにワシらの長も内容を知っているんだ! どうやって知ったが、どうなるのかも知っているが、それは教えてやらねえ。知りたければ、せいぜいあの二人を護って生き延びる事だな、あばよ!」
濃くなった霧が強い風で吹き飛ばされて薄くなった時、男の姿は消えていた。どこに消えてしまったかは見当はついたが、メイファンは追わなかった。追ったとしても今の時点では無意味だったから。
メイファンは疲れた表情をしたが、予想できたが”闇の魔道士”の黒幕も、秘密の御神託の内容を知っているのが分かったのが僅かな収穫だった。御神託があったのは”筆頭統領の夜食班”とごく少数の幹部が知っているが、内容は筆頭統領のカミーナなどさらに少数しか知らなかった。もちろんメイファンも内容は少し知らされていなかった。
「やはりな、秘密の御神託が漏洩していたんだな。しかし、誰が漏らしたんだろう? まさか・・・黒幕も受けたというんだろうか?」
メイファンは剣をしまいながら考えていた。この停滞と制限された世界を転換させるために、この世界を司る神が善と悪の双方に何かの御神託を下したのかもしれないと。そうすると神は再生を求めているというのだろうか、それとも破綻戦争以上の災難によって、この世界を滅しようというのだろうか? そんなことを思ったところでこう思った。
「あたしたちギルドがもし悪の陣営だったとしたら・・・滅亡すべきは今の世界なんだろうか、ではあの二人は何のためにこの世界にやって来たんだろう?」
道具をしまった時、朝霧は薄くなり何も見えなかったところから神殿のシルエットが浮かんできた。それはこれから起きる事に対し神が何らかの示唆をしているようにも感じたメイファンだった。
「メイファン、わしを倒しても構わないぞ! それなのにそうしないのはワシの他に仲間がいると思っているんだろ?」
男はメイファンが考えていることは分かっているようだった。いまなら師匠を葬る事は出来るかもしれなかった。しかし、自分がここで斃れたら二人を護ることは誰も出来ないのは明らかだった。”筆頭統領の夜食班”は小さな組織で秘密の任務を遂行しているので他のギルドの部門の協力を受けることが出来なかった。
「それよりも、終わりにしない? もうじき、あの御一行さんは下山するはずなんだからさ! 勝負しねえか?」
メイファンは叫んだ。しかしそのとき、霧の濃度が一気に上がってしまい、互いの姿が見えなくなった。すると男はこう言って消えてしまった。
「お前もワシもここで戦っても無意味なのは承知だろ? 良い事教えてやろう! お前の上司の巫女上がりの娘はなあ、秘密の御神託を授かったのであの転移者の男女を特別扱いしているんだが、同じようにワシらの長も内容を知っているんだ! どうやって知ったが、どうなるのかも知っているが、それは教えてやらねえ。知りたければ、せいぜいあの二人を護って生き延びる事だな、あばよ!」
濃くなった霧が強い風で吹き飛ばされて薄くなった時、男の姿は消えていた。どこに消えてしまったかは見当はついたが、メイファンは追わなかった。追ったとしても今の時点では無意味だったから。
メイファンは疲れた表情をしたが、予想できたが”闇の魔道士”の黒幕も、秘密の御神託の内容を知っているのが分かったのが僅かな収穫だった。御神託があったのは”筆頭統領の夜食班”とごく少数の幹部が知っているが、内容は筆頭統領のカミーナなどさらに少数しか知らなかった。もちろんメイファンも内容は少し知らされていなかった。
「やはりな、秘密の御神託が漏洩していたんだな。しかし、誰が漏らしたんだろう? まさか・・・黒幕も受けたというんだろうか?」
メイファンは剣をしまいながら考えていた。この停滞と制限された世界を転換させるために、この世界を司る神が善と悪の双方に何かの御神託を下したのかもしれないと。そうすると神は再生を求めているというのだろうか、それとも破綻戦争以上の災難によって、この世界を滅しようというのだろうか? そんなことを思ったところでこう思った。
「あたしたちギルドがもし悪の陣営だったとしたら・・・滅亡すべきは今の世界なんだろうか、ではあの二人は何のためにこの世界にやって来たんだろう?」
道具をしまった時、朝霧は薄くなり何も見えなかったところから神殿のシルエットが浮かんできた。それはこれから起きる事に対し神が何らかの示唆をしているようにも感じたメイファンだった。
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