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第六章:インヴァラの白きオオネコとダンジョン
162.工房
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アサミを先頭にフィルビー班三人はダンジョン・マスターがいるはずの工房に向かっていた。そこに行くまでには様々な地下生命体が跋扈していた。
「なによ、この気色悪い歩き回るキノコは? じっとしとけばいいのによ!」
ルンファはげんなりとした表情をしていた。さっきがら虫が動いているのかと思ったらキノコがウヨウヨしていたのが、気に入らなかったようだ。
「それはねえ、ギルッシュ茸よ。この大陸のダンジョンにはよくあるものだけど、まあ普通の人間が食べたらお腹壊すかも」
キュリットロスはそういっていたが、アサミの装着している甲冑から発せられるので、アサミがしゃべっているようにも聞こえた。
「アサミ! あんた食べてみたら? 普通の人間ではないんでしょ!」
「ルンファさんも食べてみたら? わたしたちは純粋な人間ではないから案外大丈夫かもよ
そういってアサミは動いていたギルッシュ茸のひとつを手に乗せてみた。すると許しを請うかのような仕草をした。食べられたくないようだった。
「二人ともダメだろ! このダンジョン内部の生き物を故意に殺したら失格だろ!」
フィルビーの声がそこら辺中に響いていた。それにしてもフィルビーは少し上機嫌だった。魔導士相手の行商人で重宝される魔道具の工房に行けるかららしかった。
一行は冊子にしるされた工房のある箇所に到達した。そこから先には魔物とされる職人が精を出している工房があるはずだった。しかし物音がしてこなかった。不審に思って一行が入るとアサミは思わず剣を構えていた。
「なんてことなの、この惨状は!」
一行の目の前には最近荒らされたらしい工具箱や生産物が散乱していて、その間に無残な遺体が転がっていた。その遺体の多くが剣によって切り刻まれたようにバラバラになっていた。
「これは・・・血の匂いもするし遺体も腐敗が始まっていない。襲撃されたのはつい最近のようだ。とりあえず連絡しよう。アサミ、悪いが警戒しておいてくれ」
結界の外にいるエリン公に連絡したが、大変衝撃を受けていた。聖獣がいなくなっただけだと思っていたのに、ダンジョン内でとんでもない事が起きていたからだ。
「あなたたち、これはもう試験では負えないレベルよ。もうエヴァ・エリの事はいいから早く脱出してちょうだい。あなたたちの仲間のタクヤさんの事は・・・とにかく明日の朝には魔導士ギルドの緊急特殊部隊が到着するから。きっと何とかなるはずだから」ケチなエリン公も、これは公国始まって以来の危機だと認識しているようだった。
それを聞いたフィルビーはアサミに視線を送っていた。どうもアサミの意見を聞いてから決めようという事らしかった。
「わかりました。脱出します。でも、その前に工房内を捜索させてください。もしかすると生存者がいて状況が聞けるかもしれませんから!」
アサミの意見を受け入れて、とりあえず工房内に生存者がいないかを捜索することになった。この行為は虐殺行為をした何者かと鉢合わせするかもしれない危険な事であったが、それは撤退しているときも同じであったが。
諦めて、脱出しようとしたその時、棚の下の床板が動くのが見えた。そこには小さな背中が見えていた。唯一の生存者のようだった。
「なによ、この気色悪い歩き回るキノコは? じっとしとけばいいのによ!」
ルンファはげんなりとした表情をしていた。さっきがら虫が動いているのかと思ったらキノコがウヨウヨしていたのが、気に入らなかったようだ。
「それはねえ、ギルッシュ茸よ。この大陸のダンジョンにはよくあるものだけど、まあ普通の人間が食べたらお腹壊すかも」
キュリットロスはそういっていたが、アサミの装着している甲冑から発せられるので、アサミがしゃべっているようにも聞こえた。
「アサミ! あんた食べてみたら? 普通の人間ではないんでしょ!」
「ルンファさんも食べてみたら? わたしたちは純粋な人間ではないから案外大丈夫かもよ
そういってアサミは動いていたギルッシュ茸のひとつを手に乗せてみた。すると許しを請うかのような仕草をした。食べられたくないようだった。
「二人ともダメだろ! このダンジョン内部の生き物を故意に殺したら失格だろ!」
フィルビーの声がそこら辺中に響いていた。それにしてもフィルビーは少し上機嫌だった。魔導士相手の行商人で重宝される魔道具の工房に行けるかららしかった。
一行は冊子にしるされた工房のある箇所に到達した。そこから先には魔物とされる職人が精を出している工房があるはずだった。しかし物音がしてこなかった。不審に思って一行が入るとアサミは思わず剣を構えていた。
「なんてことなの、この惨状は!」
一行の目の前には最近荒らされたらしい工具箱や生産物が散乱していて、その間に無残な遺体が転がっていた。その遺体の多くが剣によって切り刻まれたようにバラバラになっていた。
「これは・・・血の匂いもするし遺体も腐敗が始まっていない。襲撃されたのはつい最近のようだ。とりあえず連絡しよう。アサミ、悪いが警戒しておいてくれ」
結界の外にいるエリン公に連絡したが、大変衝撃を受けていた。聖獣がいなくなっただけだと思っていたのに、ダンジョン内でとんでもない事が起きていたからだ。
「あなたたち、これはもう試験では負えないレベルよ。もうエヴァ・エリの事はいいから早く脱出してちょうだい。あなたたちの仲間のタクヤさんの事は・・・とにかく明日の朝には魔導士ギルドの緊急特殊部隊が到着するから。きっと何とかなるはずだから」ケチなエリン公も、これは公国始まって以来の危機だと認識しているようだった。
それを聞いたフィルビーはアサミに視線を送っていた。どうもアサミの意見を聞いてから決めようという事らしかった。
「わかりました。脱出します。でも、その前に工房内を捜索させてください。もしかすると生存者がいて状況が聞けるかもしれませんから!」
アサミの意見を受け入れて、とりあえず工房内に生存者がいないかを捜索することになった。この行為は虐殺行為をした何者かと鉢合わせするかもしれない危険な事であったが、それは撤退しているときも同じであったが。
諦めて、脱出しようとしたその時、棚の下の床板が動くのが見えた。そこには小さな背中が見えていた。唯一の生存者のようだった。
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