11 / 166
第一章:気が付いたらネコになっていたアサミ
011.待合室にて
しおりを挟む
チェックインをして出国審査も済ました私たちは、搭乗口前の待合室で待っていた。このとき美保子はさっき写してもらった画像を自分のSNSにせっせとアップしていた。そこにあるテレビではグロヴァル・コスモリアンによるテロ事件の続報が映し出されていた。
「それにしても大変よね。新幹線が超小型爆破装置で脱線しだなんて。幸い犠牲者は出なかったけど、手口が巧妙だったそうよ。早く首領を捕まえてほしいものよね」美保子は缶コーヒーを飲みながら言っていた。折角の旅立ちだというのになんてニュースなんだと、気に入らない様子だった。
「ところで亜佐美。あなたドイツに行ったら古城めぐりしたいといっていたけど、やっぱり中世の雰囲気でも楽しみたいわけ?」
「そうよ。ほらファンタジーモノのアニメってヨーロッパの中世みたいでしょ? だから直に見たかったのよなんとなくドイツみたいだし。それってあなたもでしょ?」
「そうなんだ・・わたしがドイツに行きたかったのは、あの風景の中に自分も同化したいと思ったのよ、もし来世ってものがあるなら、次はドイツに生まれたいなあ。それぐらい憧れていたのよ。それにしても遅いわね、案内が」
「なんでも、駐機場にあった旅客機から例の爆弾が見つかったそうよ。たいへんよねえ日本国際航空とAJAも。私たちが乗る飛行機は大丈夫なようだし、だいたい二機も三機もそれ以上に一度に爆弾が仕掛けられるはずないよね」
「大丈夫よ。きっと。ほら離陸していく飛行機もあるし。それに、これから寝るだけだからね、時差ぼけにならないように」そういって美保子はこれから向かう国々のガイドブックをめくっていた。
「オーシャニアン航空653便の搭乗ですが、予定よりも大幅に遅れております。お急ぎのところ申し訳ございませんが、もう少しでご案内できると思います・・・」後ろにはこんなアナウンスが流れていた。
そんなとき、目の前にお下げ髪をした少女が、ヒマを弄んでいるのか話しかけてきた」
「お姉ちゃん達もドイツに行くの?」
「そうよ、あなたのお父さんとお母さんは?」
「ううん、わたし一人、でも空港に父さんが迎えに来てくれるから」
「えっ? それじゃああなた一人で飛行機に乗るの? どうして?」
「わたし岡倉明日香といいます、うちの父はドイツに単身赴任中でして、まだ春休みではないのですけど、ドイツに行って父の職場を見てきます。半年振りに父に会えると思うと嬉しくて仕方ないです」
その明日香という女の子の顔を見ると本当に嬉しそうなんだなあと感じた。わたしも、父が職場の大学からいつも遅くなって帰って来たので、帰ってくるのが嬉しくってたまらなかった事を思い出した。
「そう、それじゃあ明日香さんはお父さんにうーんと一緒にいてくれるのだ。そんなことをしたら母ちゃんがやきもちやいちゃうよ!」
「そうかもねえ、母って結構寂しがり屋ですから、すこし悪いことしたかも。母も仕事がなければ一緒に行けたのですけど」そういって明日香は携帯をつないで母に挨拶をしていた。
そのとき、待合室から見える空は春雨をもたらした雲が薄くなり、春の柔らかい日差しが差し込みだしていた。その光はとても綺麗に見えた。この数時間後にこの待合室にいたわたしも含め全ての人に起こる事など暗示するものではなかった。
「それにしても大変よね。新幹線が超小型爆破装置で脱線しだなんて。幸い犠牲者は出なかったけど、手口が巧妙だったそうよ。早く首領を捕まえてほしいものよね」美保子は缶コーヒーを飲みながら言っていた。折角の旅立ちだというのになんてニュースなんだと、気に入らない様子だった。
「ところで亜佐美。あなたドイツに行ったら古城めぐりしたいといっていたけど、やっぱり中世の雰囲気でも楽しみたいわけ?」
「そうよ。ほらファンタジーモノのアニメってヨーロッパの中世みたいでしょ? だから直に見たかったのよなんとなくドイツみたいだし。それってあなたもでしょ?」
「そうなんだ・・わたしがドイツに行きたかったのは、あの風景の中に自分も同化したいと思ったのよ、もし来世ってものがあるなら、次はドイツに生まれたいなあ。それぐらい憧れていたのよ。それにしても遅いわね、案内が」
「なんでも、駐機場にあった旅客機から例の爆弾が見つかったそうよ。たいへんよねえ日本国際航空とAJAも。私たちが乗る飛行機は大丈夫なようだし、だいたい二機も三機もそれ以上に一度に爆弾が仕掛けられるはずないよね」
「大丈夫よ。きっと。ほら離陸していく飛行機もあるし。それに、これから寝るだけだからね、時差ぼけにならないように」そういって美保子はこれから向かう国々のガイドブックをめくっていた。
「オーシャニアン航空653便の搭乗ですが、予定よりも大幅に遅れております。お急ぎのところ申し訳ございませんが、もう少しでご案内できると思います・・・」後ろにはこんなアナウンスが流れていた。
そんなとき、目の前にお下げ髪をした少女が、ヒマを弄んでいるのか話しかけてきた」
「お姉ちゃん達もドイツに行くの?」
「そうよ、あなたのお父さんとお母さんは?」
「ううん、わたし一人、でも空港に父さんが迎えに来てくれるから」
「えっ? それじゃああなた一人で飛行機に乗るの? どうして?」
「わたし岡倉明日香といいます、うちの父はドイツに単身赴任中でして、まだ春休みではないのですけど、ドイツに行って父の職場を見てきます。半年振りに父に会えると思うと嬉しくて仕方ないです」
その明日香という女の子の顔を見ると本当に嬉しそうなんだなあと感じた。わたしも、父が職場の大学からいつも遅くなって帰って来たので、帰ってくるのが嬉しくってたまらなかった事を思い出した。
「そう、それじゃあ明日香さんはお父さんにうーんと一緒にいてくれるのだ。そんなことをしたら母ちゃんがやきもちやいちゃうよ!」
「そうかもねえ、母って結構寂しがり屋ですから、すこし悪いことしたかも。母も仕事がなければ一緒に行けたのですけど」そういって明日香は携帯をつないで母に挨拶をしていた。
そのとき、待合室から見える空は春雨をもたらした雲が薄くなり、春の柔らかい日差しが差し込みだしていた。その光はとても綺麗に見えた。この数時間後にこの待合室にいたわたしも含め全ての人に起こる事など暗示するものではなかった。
0
あなたにおすすめの小説
ハズレスキル『自動販売機』を授かって婚約破棄されましたが、 実は回復薬も魔力食も出せる最強スキルでした
暖夢 由
ファンタジー
十八歳の成人儀式で授かったのは、誰も聞いたことのない《自動販売機スキル》。
役立たずと嘲られ、婚約者レオンには即座に婚約を破棄され、人生が崩れ落ちたように思えた。
だがそのスキルには、食べ物を作り、摂取すれば魔力を増やし、さらに“治癒効果”を付与できるという隠された力があった。
倒れた母を救い、王都の名門・ヴァルセイン伯爵夫人を救ったことで、カミーラは“呪詛”という闇の存在を知る。伯爵邸で出会った炎の力を持つ公爵家次男レグナスとの出会いが、彼女の運命を大きく変えていく。
やがて王都全体に“謎の病”が蔓延。カミーラは治癒スープの炊き出しを行い、人々を次々と回復へ導く。
一方、病の裏で糸を引いていたのは………。
“無価値”と嘲られたスキルが、いま世界を癒し、未来を照らす光となる――。
僕だけレベルダウンな件〜敵を倒せば倒すほど弱くなるので、目立たずスローライフを目指します〜
小林一咲
ファンタジー
まったく数奇な人生である。
僕の名前は橋本 善。
正真正銘の日本人だが、今は異世界にいる。
理由なんてわかるはずがない。
死んだのか、はたまた何かの召喚に巻き込まれたのか。
僕には固有スキルがあった。
それは、スキル【レベルダウン】。
魔物を倒し、経験値を得るほどレベルやステータスがさがるというものだ。
だから僕は戦わない。
安心安全のスローライフを目指すんだ!!
異世界魔法、観察してみたら
猫チュー
ファンタジー
異世界に転生した少年レイは、ある日、前世の記憶を取り戻す。
未知でありながら日常の一部となっている魔法に強い興味を抱いた彼は、村の魔法オババに師事し、修行の日々を送る。
やがてレイは、この世界の魔法が、地球で学んだ知識と多くの共通点を持つことに気づいていく。
師の元を離れ、世界を知っていく中で、少年は魔法を観察し、考え、少しずつ理解を深めていく。
これは、少年レイが世界を、魔法を、科学していく物語。
攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】
水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】
【一次選考通過作品】
---
とある剣と魔法の世界で、
ある男女の間に赤ん坊が生まれた。
名をアスフィ・シーネット。
才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。
だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。
攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。
彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。
---------
もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります!
#ヒラ俺
この度ついに完結しました。
1年以上書き続けた作品です。
途中迷走してました……。
今までありがとうございました!
---
追記:2025/09/20
再編、あるいは続編を書くか迷ってます。
もし気になる方は、
コメント頂けるとするかもしれないです。
『異界酒場 ルーナ』
みぎみみ
ファンタジー
東京・渋谷から少し外れた路地の奥、築五十年のビルの地下一階。看板は小さく、知っている人しか辿り着けない。
カウンター八席、テーブル二卓。深夜零時から夜明けまでの営業。
ルーカス(本名:ルカシュ・ヴァルド)
異世界の小さな王国の第三王子として生まれたが、王位継承争いに巻き込まれ、魔法陣の暴走によって現代日本に転移してきた。外見は三十代前半の白人男性。銀灰色の髪と、光の加減で金色にも見える瞳を持つ。日本語は「声の魔法」で習得した。
他人の「最も深い渇望」が視える力を持つ——それは意識的な欲求ではなく、本人すら気づいていない魂の底の叫び。酒や料理を通じてその渇望に応える。
自分の力を「呪い」だと思っていた時期もある。今はただ、使い道を見つけた、という感覚でいる。
魔王と呼ばれた勇者、或いは勇者と呼ばれた魔王 〜最強の魔剣で自由に生きる! 金も女も、国さえも思いのまま!! …でも何かが違うみたいです
ちありや
ファンタジー
クラスメートからのイジメが元で死んでしまった主人公は、その報われぬ魂を見かねた女神によって掬い上げられ異世界で転生する。
女神から授けられた不思議な剣を持つことで、彼はあらゆる敵に打ち勝ちあらゆる難問を解き明かし、あらゆる女性を虜にする力を手に入れる。
無敵の力を手に入れた男が次に望む物は果たして…?
不定期連載(7〜10日間隔で出していく予定)
やっかいな幼なじみは御免です!
ゆきな
恋愛
有名な3人組がいた。
アリス・マイヤーズ子爵令嬢に、マーティ・エドウィン男爵令息、それからシェイマス・パウエル伯爵令息である。
整った顔立ちに、豊かな金髪の彼らは幼なじみ。
いつも皆の注目の的だった。
ネリー・ディアス伯爵令嬢ももちろん、遠巻きに彼らを見ていた側だったのだが、ある日突然マーティとの婚約が決まってしまう。
それからアリスとシェイマスの婚約も。
家の為の政略結婚だと割り切って、適度に仲良くなればいい、と思っていたネリーだったが……
「ねえねえ、マーティ!聞いてるー?」
マーティといると必ず割り込んでくるアリスのせいで、積もり積もっていくイライラ。
「そんなにイチャイチャしたいなら、あなた達が婚約すれば良かったじゃない!」
なんて、口には出さないけど……はあ……。
スライムからパンを作ろう!〜そのパンは全てポーションだけど、絶品!!〜
櫛田こころ
ファンタジー
僕は、諏方賢斗(すわ けんと)十九歳。
パンの製造員を目指す専門学生……だったんだけど。
車に轢かれそうになった猫ちゃんを助けようとしたら、あっさり事故死。でも、その猫ちゃんが神様の御使と言うことで……復活は出来ないけど、僕を異世界に転生させることは可能だと提案されたので、もちろん承諾。
ただ、ひとつ神様にお願いされたのは……その世界の、回復アイテムを開発してほしいとのこと。パンやお菓子以外だと家庭レベルの調理技術しかない僕で、なんとか出来るのだろうか心配になったが……転生した世界で出会ったスライムのお陰で、それは実現出来ることに!!
相棒のスライムは、パン製造の出来るレアスライム!
けど、出来たパンはすべて回復などを実現出来るポーションだった!!
パン職人が夢だった青年の異世界のんびりスローライフが始まる!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる