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第二章:ひとりといっぴきから二人の旅立ち
042.タクヤの想い
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ある日の事だ。俺の身体は金縛りにでもあったかのように動けなくなってしまった。しかも公園のベンチで横になっている時だ。どうも病状が悪化したからのようだ。それで俺はベンチで日が暮れても横になっていた。周囲には結構人が通り過ぎているけど、誰も振り返ってくれることは無かった。いつものことだと思っているのだろう。
しかも、ここは公園の中でも巨大なオブジェの脇にあって、表のスロープから死角になっていて見えない位置にあった。だから見回りの警備員も見過ごすようなところだった。もっとも、そんなところだから毎日のように占拠していたのだが・・・
日が暮れたとき、目の前でアサミがミャアミャア鳴いていた。どうも一緒に帰ろうと言っている様だったが、身体が動かないのでどうすることも出来なかった。それで、しばらくすると諦めたのかアサミは俺の頬の脇で丸くなって眠り始めた。
この時、俺は変な想像をしていた。そう彼女とこうして同衾している光景を! 俺も二十代のときに女性と付き合ったこともあったし、契りを結んだこともあった。しかし、そこから先に関係が深くなることはなかった。しかも三十代目前で心身とも壊れてしまい、長期療養を強いられて以降、まったく女性と縁遠い人生を歩んできた。
そんな事を思っていると、隣で頬を寄せ合っているアサミを見ていると、またしても亜佐美のことを思い出してきた。どうしてだろう? ネコのアサミと出会ってからなんで彼女の事ばかり思い出すのだろうか?
そう疑問に思っていると一つの思いが浮かんできた。あの教育実習をしていた前後が今までの人生で最も輝いていたからだろうと。そう、亜佐美との思い出が最高だったのだろうかと。
もちろん、過去のことなので美化して思い出しているのかも知れないと思ったが、彼女の写真を持っていたことを思い出した。たしか、一度だけプリクラに強引に連れて行かれたことがあった。それは彼女の家に子猫を送り届けた日のことだったと。でも、あのプリクラはどこかに行ってしまった。俺の輝いていた青春のように消えてしまった・・・
これから俺はどうしようか迷っていた。一層の事、この町を出ようと考えていた。この町は派遣会社によって生まれて初めてやってきた地方都市で、縁もゆかりもないところだった。でも、アサミはどうなるのだろうか? このまま一緒に暮らせるのだろうか?
そう思うと俺はこれから何をすべきなのかがわからなくなってきた。そんなときアサミを見ると寝息を発てていた。いつもガード下では青シャツに取られないようにゲージに閉じ込めているので、こんな風に寄せ合ってアサミと寝たことがなかった。
「おい、アサミ! お前が人間だったら良かったのに! それなら、俺は・・・」そう考えながらまた眠りの世界へと俺は沈んでいった。
しかも、ここは公園の中でも巨大なオブジェの脇にあって、表のスロープから死角になっていて見えない位置にあった。だから見回りの警備員も見過ごすようなところだった。もっとも、そんなところだから毎日のように占拠していたのだが・・・
日が暮れたとき、目の前でアサミがミャアミャア鳴いていた。どうも一緒に帰ろうと言っている様だったが、身体が動かないのでどうすることも出来なかった。それで、しばらくすると諦めたのかアサミは俺の頬の脇で丸くなって眠り始めた。
この時、俺は変な想像をしていた。そう彼女とこうして同衾している光景を! 俺も二十代のときに女性と付き合ったこともあったし、契りを結んだこともあった。しかし、そこから先に関係が深くなることはなかった。しかも三十代目前で心身とも壊れてしまい、長期療養を強いられて以降、まったく女性と縁遠い人生を歩んできた。
そんな事を思っていると、隣で頬を寄せ合っているアサミを見ていると、またしても亜佐美のことを思い出してきた。どうしてだろう? ネコのアサミと出会ってからなんで彼女の事ばかり思い出すのだろうか?
そう疑問に思っていると一つの思いが浮かんできた。あの教育実習をしていた前後が今までの人生で最も輝いていたからだろうと。そう、亜佐美との思い出が最高だったのだろうかと。
もちろん、過去のことなので美化して思い出しているのかも知れないと思ったが、彼女の写真を持っていたことを思い出した。たしか、一度だけプリクラに強引に連れて行かれたことがあった。それは彼女の家に子猫を送り届けた日のことだったと。でも、あのプリクラはどこかに行ってしまった。俺の輝いていた青春のように消えてしまった・・・
これから俺はどうしようか迷っていた。一層の事、この町を出ようと考えていた。この町は派遣会社によって生まれて初めてやってきた地方都市で、縁もゆかりもないところだった。でも、アサミはどうなるのだろうか? このまま一緒に暮らせるのだろうか?
そう思うと俺はこれから何をすべきなのかがわからなくなってきた。そんなときアサミを見ると寝息を発てていた。いつもガード下では青シャツに取られないようにゲージに閉じ込めているので、こんな風に寄せ合ってアサミと寝たことがなかった。
「おい、アサミ! お前が人間だったら良かったのに! それなら、俺は・・・」そう考えながらまた眠りの世界へと俺は沈んでいった。
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