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第二章:ひとりといっぴきから二人の旅立ち
046.最後の日
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タクヤはアサミをゲージの中に入れ旅たとうとしていた。世界中が政治的に混乱し日本国内でも失業者や難民が溢れていたので、できるだけ小奇麗な格好をした。そのため汚れた服や僅かな生活道具は全て置いていく事にした。そう、此処には戻らないという決意だった。
「本当に戻る気はないんだな、それでいいんかい? まあ戻って来いとは言えんところだけどな」
青シャツはそんな風に見送ってくれた。そして何故か新入りのホームレスのイリスが付いてきてくれた。そして向かった先は最初にアサミと出会った工場だった。そこはテロリストの黒幕とされた企業が運営していたので閉鎖されたところであった。だから入れるはずはなかったが、なぜかその日は扉が開いた。そして工場の中庭にむかった。そこが最初にひとりといっぴきが出会ったところであったが、あの時と違って雑草は伸び放題で荒れていた。だから、あの日の面影を失っていた。
そこでタクヤは呆然とした顔をして庭を空を見ていた。思っていたのはもちろん亜佐美のことだった。でも彼女はこの世のものではなかった。それを知らずに過ごした年月を悔やんでいた。いまさら言う事はもう出来ぬことであるが、もしあの時一線を越えていたら彼女は死なずにいたのではないかと。
それは葉書で先生に会いたいなあという年賀状を受け取っていたからだ。大学を卒業するからだと。もし会っていたら運命が変わっていたのかもしれないと思ったのだ。しかし全ては答えなど出るはずのない仮定にすぎなかった。運命とは結果論であり数多くの可能性が否定されて残った現実であった。
そんなことをタクヤは思っていたが、いつの間にか膝の上にアサミが眠っていた。そのとき、イリスがコンビニで買って来た弁当を差し入れてくれた。
「本当に戻る気はないんだな、それでいいんかい? まあ戻って来いとは言えんところだけどな」
青シャツはそんな風に見送ってくれた。そして何故か新入りのホームレスのイリスが付いてきてくれた。そして向かった先は最初にアサミと出会った工場だった。そこはテロリストの黒幕とされた企業が運営していたので閉鎖されたところであった。だから入れるはずはなかったが、なぜかその日は扉が開いた。そして工場の中庭にむかった。そこが最初にひとりといっぴきが出会ったところであったが、あの時と違って雑草は伸び放題で荒れていた。だから、あの日の面影を失っていた。
そこでタクヤは呆然とした顔をして庭を空を見ていた。思っていたのはもちろん亜佐美のことだった。でも彼女はこの世のものではなかった。それを知らずに過ごした年月を悔やんでいた。いまさら言う事はもう出来ぬことであるが、もしあの時一線を越えていたら彼女は死なずにいたのではないかと。
それは葉書で先生に会いたいなあという年賀状を受け取っていたからだ。大学を卒業するからだと。もし会っていたら運命が変わっていたのかもしれないと思ったのだ。しかし全ては答えなど出るはずのない仮定にすぎなかった。運命とは結果論であり数多くの可能性が否定されて残った現実であった。
そんなことをタクヤは思っていたが、いつの間にか膝の上にアサミが眠っていた。そのとき、イリスがコンビニで買って来た弁当を差し入れてくれた。
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