元ホームレス・タクヤとネコ耳娘アサミ魔道伝:Re

ジャン・幸田

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第二章:ひとりといっぴきから二人の旅立ち

050.列車

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 そんな時、目の前に東に向かう貨物列車が通過していった。俺は鉄ちゃんではないけど、もう夜行の寝台特急というものはこの路線に走っていないのだなあと思った。むかし夜行列車に彼氏と二人で旅に行った妄想した事があったけど、今日は実現する時だ。

  「伊理さん、寒くないですか? アサミの奴はスヤスヤと眠っていますけど、大丈夫かな電車に乗せても」

  この時、わたしはゲージの中で眠っている振りをしていた。もうこの姿でいれるのもあとわずかだった。もう直ぐ肉体が復活し、タクヤと直接話せると思うとドキドキしていた。

  「大丈夫だと思うよ。だって、こんなに良いネコだから・・・それに、あなたに一番なついていますし」

  伊理さん、いえイリスさんはそういってタクヤに言ったけど、はやくタクヤに自分の気持ちを伝えたかった。でもタクヤはわたしを受け入れてくれるだろうか、それだけが気がかりだった。

  そのとき西の方から電車がホームに滑り込んできた。その車両は今では首都圏や近畿圏でも見ることがなくなったような古い103系電車だった。しかも前後が先頭車の二両編成だった。その電車には乗客が誰もいなかったが、なかから車掌が降りてきた。
  
  「お待たせいたしました。これから特別電車発車します、どうぞお乗りください」
この電車はエンジェルが用意した別の世界へ召喚するポイントがある時空に向かうための交通機関で、同時に別の世界で生活できるように身体を変換する装置だとイリスさんから聞いていた。
  だから、これから起きる事を知らないのはタクヤだけだった。

  電車は東に向けて出発した。この時間に走る電車は無い事に気付く人は殆どいないじょうたいだったので、問題にならなかった。たとえ気付いても、もうこの列車が個々に戻る事もないけど。

  わたしを入れたゲージを荷物置き場において、ソファーに座ったタクヤは意識が遠くなってしまった様子だった。
  
  「伊理さん、すいません。俺を眠らせてください。もし伊理さんが降りられる時に起こしてください。それとアサミになにか異常があったらいってください」

  そういい残して眠ってしまった。電車内には静寂さの中に電動モーターの駆動音とレールの継ぎ目を車輪が踏みつけたときの振動が規則正しく感じていたが、それもやがて感じなくなっていった・・・

 この瞬間、電車は偽装をやめてモーターの音をだすのをやめて、どこかの工場の引込み線に入ってから空を飛び始めた。すると、しばらくすると眩い光の雲の中を突き進み始めた。ついに別の世界に続くゲートに突入したのだ。
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